怖がりさんの就活日記
内定をいただいた。
素直に嬉しかった。
でもいざそこに決めるとなると、怖かった。
もちろん向こうの企業が悪い訳ではない。
むしろインターンの時からよくしてくれて、社会もその業界も分かっていない私に丁寧に優しく教えてくれた。
そのほかにもいくつか選考を受けたが、一番行きたいと思った企業だった。
私は「働く」のが苦手だ。
アルバイトも単発のものしかしたことがない。
ボランティアや実習という形で関わることはできても、それがアルバイトなど「働く」というかたちになると怖くて出来なくなる。
幸いなことに他の企業からも内定をいただいていたので、どの企業にいくか悩んでいた。でもやっぱりその企業が一番やりたいことができる環境で、そこに行こうと決めた。
そして内定承諾書を書いて投函してきた。
帰ってきてからなぜか涙が止まらなかった。
人手不足な業界ということもあり、就活自体は他の人より楽だったと思っている。色々見る中で雰囲気が合わない企業もあったけど、そこは結局受けなかったし、そこまで辛い思いをせずに済んだ。
なんなら、どこに行こうか悩んでいる時間が一番大変だった。
だからなのか、就活が終わる解放感よりもこれからの生活が決まったという事実が重かった。
大学に入るまでは、なんとなく多数派を選んで生きてきた。そのレールの上でなんだかんだ上手くやってきた。
でも大学に入って少しずつ自分の意志で、他の人とは違う道を選べるようになった。
大学で二つの資格のうち、どっちを選ぶかで私と同じ選択をした人は同学年に一人もいなかった。卒業後の進路もほとんどが教員になる中で私は違う道を選んだ。
どちらも今のところ後悔していないけれど、私はそんなに強い人間ではないので、自分の責任で選んで生きていくことに少し怖さを感じる。
私は小さいころから周囲の顔色を窺って生活する方だった。親が口で「いいよ」と言っていても、少しでも嫌そうな表情や言いよどんだ瞬間があったら「やっぱりいい」と断るような子どもだった。
いまでもその名残はあって、周囲の反応を気にしてしまう。
でもいつかはこの殻を破らなければいけない。
それが私にとっては今なのだろう。
誰だって 一人踏み出すときは
ほんとはちょっと怖いよ
ひとりぼっちにまだ 慣れてないから
わかれていく道の先でもっと 強くなりたいと思ってるんだよ
春の涙を/Goose house
この歌詞を胸に一歩踏み出そう。