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Taylor Swift新作におけるリアクションの動向 アーティストの知名度が左右する”プロモーション格差”とは?

先日、リリース前の情報を記事としてまとめたTaylor Swiftのニューアルバmム『Midnights』。10月21日(現地)に無事発表されるや否や、Twitterをはじめとする主要SNS、そして海外メディアは同アルバムの話題一色に。アルバムはアメリカ・イギリス両チャートにて初登場1位を獲得。また、10月31日付の『Billboard Hot 100』ではリード曲となった「Anti-Hero」を首位に、1位から10位までを『Midnights』収録曲が独占。改めてTaylor自身の、そしてその音楽の影響力の強さを証明した。

『Midnights』はフィジカルリリースにおいて複数のエディションが用意され、アルバム本編とは別に各形態で収録されるボーナストラックが異なる。もちろんアートワークも違うため、熱狂的なファンであれば全形態を購入したくなるはず。

複数形態でのリリースは珍しくないし、Taylor Swift以外、むしろ日本の音楽市場でもごく当たり前に適応されている。一方、こうした形態でのリリースは音楽そのものの質ではなく(主にセールスにおける)商品としての価値にしか焦点を当てていないのではないか、という声もある。それはSpotifyなどの定額制サブスクリプションサービスでのチャートアクションでも同様で、Taylorに関しても『Midnights』リリースからわずか3時間後、新曲7曲を追加した”3am Edition"を配信。すでに『Midnights』を1〜2周したであろうリスナーにさらなる楽しみを提供したとともに、よりストリーミング再生数を稼ぐような狙いが伺える。

複数形態、新曲を追加したバージョンでの再リリースは、そのアーティストのファン、または日頃から新しい音楽を求めるリスナーにとっては嬉しいアクションだ。しかし、こうしたアクションができるのは収入面である程度余裕があり、かつそうしたアクションで反響が生まれるであろう一部の知名度あるアーティストに限られるとも考えられる。所属事務所やレコード会社の判断によるところも大きいだろうが、知名度から生じるプロモーションの格差はクリエイティブ面で秀でた技能・才能を持つニューカマーらには障壁となる可能性があるかもしれない。

低コストで大きな反響を得られるプロモーションは事務所やレコード会社も好むだろうし、Taylor SwiftクラスになればSNSのフォロワー数(11月1日現在でTwitterは約9159万人、Instagramは2.3億人)を考慮すれば自らの投稿そのものが最大のプロモーションとなる。何を優先し、何を指標とするのか。そしてどの立場でそれらを評価するかで受け取り方は様々であることを前提に、Taylorらのアクションに注目していきたい。


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