ミュージックソムリエの「今日なに聴こ?」vol.25 ダイジェスト文字起こし
ミュージックソムリエの阪口マサコが配信しているstand.fmの番組「今日なに聴こ?」noteでは配信内容の一部を文字起こししてご紹介しています。
もっとたくさん聴きたい方は、ぜひ配信をチェックしてください。
ミュージックソムリエの阪口マサコが、今日聴きたい1曲をセレクトして、日常の雑談トークの流れにはじまり、その楽曲のストーリーや魅力を伝える、Stand.fmの番組です。
関西弁でゆる〜くお届け。気分転換したいときやちょっと時間が空いた時、
是非お聞きください。
最近、気になってることがあります。
いろんな考えがあって、それを自由に言える社会でないといけないですよね。
一つだけが正解で、っていう風に持っていかれる社会ってちょっと怖い気がします。
もし、一つだけ正解があるとすれば、それは、すべての命が等しくて尊い。これだけじゃないでしょうか。
<言いたいことが言えない社会>
言いたいことが言えない社会を私は望みません。
やはり自由闊達な意見を言えてこその民主主義、民主社会じゃないですか。もちろん、ネット上の誹謗中傷は行けませんよ、人権侵害ですから。
いろんな方向からいろんな人が意見を言って、それが普通に横並びであることが自然だと私は思っています。
ブラジルも、1964年に突如軍事制権が成立し、1985年まで続きました。
歌詞などの検閲も強化されて、ミュージシャンたちは表現の自由を奪われたんですね。
1968年にブラジルのポピュラーミュージックを代表する、カエターノ・ヴェローゾやジルベルト・ジル、ナラ・レオンといったミュージシャンによるアルバム『トロピカリア』がリリース。当時の芸術、演劇とか文学などとも共鳴し、軍事政権に対する反社会運動でもあった「トロピカリズム」と呼ばれる芸術のムーブメントが起こりました。
カエターノ・ヴェローゾやジルベルト・ジルの二人は、社会批判の歌詞を歌ったということで投獄され、国外追放されてしまいます。
その頃、『トラベシーア』の大ヒットでアメリカのジャズミュージシャンに見出され、いち早くアメリカでツアーとかレコーディングを行っていたミルトン・ナシメントは、ブラジルに帰国後、若いミュージシャンとともに『Clube da Esquina(クルベ・ダ・エスキーナ)』日本語では『街角クラブ』というアルバムを1972年に発表しました。
このアルバムの中に収録されている、「Clube da Esquina, No. 2(クルベ・ダ・エスキーナ No.2)」(街角クラブ No.2)という楽曲があります。
この曲はミルトンが美しいスキャットで歌っているんですが、この歌に歌詞がないのは、軍事政権の検閲をのがれるためだったとも言われています。
当時のミュージシャンは検閲をのがれるために、歌詞に二重の意味を持たせて歌ってたんだそうですね。ミルトンは歌詞を歌わずに声だけでその心を表現したとも言い伝えられています。
ずいぶん後になってから「Clube da Esquina, No. 2(クルベ・ダ・エスキーナ No.2)」は歌詞付きで他のアルバムに収録されたりして歌われています。
スキャットの後に聞くととても感慨深い感じがします。
ポルトガル語で歌われているのでどんな内容が歌われているかまでは分からないんですけれど、歌うことの喜びが感じられるような、そんなとても力強さを感じますね。
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皆様の心にグッとくる音楽との出逢いがありますように。