私がマニュアル車に乗る理由
ある日のこと。
助手席にはマエストロ。後部座席にはオペレッタの衣装を積んで、練習会場に到着しました。
駐車場の誘導員の方に言われるがままに車を入れたのですが...
「もっと左!もっと左!!」
誘導員の方はやたら左に寄るようにおっしゃる。
助手席の人はどうやって、車から降りればいいのか...
悩みながら停車した後で、
「助手席は左からしか降りれないんですけど...。マニュアルなので。」と尋ねたところ、
「えっ!今時マニュアル車なんてあるの??」と鳩豆な、お顔。
車を再び出し、マエストロに降りてもらいました。やれやれ。
そんな体験をした後日、調べてみると、どうやら日本国内の車は9割がオートマ車で1割がマニュアル車なのだそうです。
好んでマニュアル車に乗る方は…
✳︎マニュアル車に対するこだわりがある。
✳︎運転が上手。
こんな印象を持っているのが多くの方だと思いますが、残念ながらそうでない人もいるのです。
私が免許を取ったのは5年ほど前。年齢も1/2世紀に向かってカウントダウンを始めていた頃です。
「私と結婚するなら、運転免許をとってほしい。」とマエストロに言われたのは、まもなく2000年を迎えようとしていた頃のこと。
これは結婚の条件?
心の狭い私は結婚後もイラッとしてしばらく放っておいたのですが、気がついたら、大変!20年近く過ぎてしまった、という訳です。
次の主催公演までしばらく時間ができるな…と思ったある日、「自動車免許を取ろう!」という天使が舞い降りてきました。
さて、誰に相談しようかしら?と思った時に、当然、スポンサーであるマエストロに相談します。彼も免許を持っていません。
「オートマ限定というのがあるんだけど…」と相談すると、
「へぇ…」と適当な相槌。(かつては取れと言ったはずなのに)
「マニュアルで取るとオートマも両方乗れるからこっちの方がいいよね?」「そうだね。」とマエストロ。
「せっかく、この歳になってせっかくとるんだから、どう思う?」
「そうだね〜」とマエストロ。
音楽以外の事を彼に相談したのが間違いだったと後々後悔することになるとは、この時は思いもよりませんでした。
教習所通いがスタートし、技能講習のインストラクターが変わる度にかけられる最初の一言が、
「どうしてマニュアル車を選んだんですか?」
仮免許の検定でも、一緒に受ける息子に近い年齢であろう青年からも、
「なんでマニュアルなんすか?」と、タメ語。
そうですよね。
坂道発進でかく汗の量は有酸素運動並みでした。
時は流れ…苦労して免許を取得!
講習でオートマ車にも乗ったし、いざカーシェアリングで運転に挑戦!
ところが、車に乗ってみると…
あれ?サイドブレーキがない!
(教習所にはこんな車はなかったぞ。)
運転中に何かブザーが響き続ける。
(どうやら、サイドブレーキを解除していないのが理由らしい。このペダルはなんだ?)
冷や汗の連続で無事に用事を終え、カーシェアの駐車場に戻るとほっとしたのか、アクセルを踏んでいないのに、車はゆっくりと駐車場の壁に突入していきました。
あ、これがクリープ現象なんですね…。
ということで、運転に慣れるまでは教習所で乗り慣れたマニュアル車に乗る決意を固めたわけです。
時は流れ、現在はコロナ禍。
仕事先に向かうマエストロの移動をしたり…
キーボードや機材の運搬をしたり…
今年は静岡県の掛川市にもマエストロの委嘱作品の公演で行かせていただきました。
おかげさまで、キリの良い走行距離にも出会うことができました!(なんのこっちゃ)
結局、「結婚するなら免許を取ってほしい」と言われた頃のマエストロの望んでいたカーライフを送っている気がします…
その後、オートマ車に乗るチャンスもありましたが、
「次に乗る車は?」と聞かれると、即答はできませんが、おそらくマニュアルかな〜と密かに思うこともあります。
私も確実に1割のマニュアル車に乗る日本人になってしまったようです。