推しの作品を語る 「Single Collection 1999-2001」/嵐
今回は完全無料でお送りします! テーマは嵐のデビュー初期のベストアルバム「Single Collection 1999-2001」。ぜひ最後までお付き合いください!
アルバム概要
本当は最初のアルバムから感想を書きたかったのですが、ファーストアルバム「ARASHI NO.1~嵐は嵐を呼ぶ~」は現在廃盤になっています。嵐の所属レコード会社といえばJ Storm(現在の名称はStorm Labels)が有名ですが、実は彼ら、デビュー初期にレコード会社を移籍しているんです。最初に所属していたのはポニーキャニオン。移籍するまでの2年間で、先述のファーストアルバムの他にVHSを1作、シングルを6作リリースしました。そのうちアルバムとVHSは再発されることはなく廃盤に。この作品は移籍後初のリリースで、ポニーキャニオン時代のシングルはカップリング曲含めてこのアルバムで網羅されました。ベストアルバムはこの後も定期的にリリースされますが、ポニーキャニオン時代のカップリング曲を収録しているのは一般流通しているアルバムだとこの作品だけになり、現在でも非常に価値のあるアルバムです。では、各楽曲について書いていきましょう。
M1 A・RA・SHI
スケスケの衣装含めて強烈な印象を残したデビューシングル。
嵐というグループが作られる時、メンバーを選考した元社長は「うちの事務所にもDA PUMPのようなグループがほしい」という思惑を持っていたようです。だからメインボーカルとして大野智くん、ラップ担当として櫻井翔くんを選んだという経緯があります。
なのでデビューから数曲はボーカル大野くん、ラップ翔くん、そしてその他のメンバーという感じの歌割りになっているんです。正直なところこの時期の曲では、大野くんと翔くん以外の声は聴き続けて15年たった今でも全く区別できません。
楽曲の特徴としては、ソロパート部分に「ダブル」と呼ばれる技術が使われています。ダブルとは、同じ人の歌声をふたつ重ねることです。つまり、大野くんや翔くんが2人いるように聴こえるんです。これが今聴くと結構な違和感があります。まあ翔くんの声が今と全然違っていたり、ラストのハモリパートをコーラス隊の人がやっていたりと現在と違うところがたくさんあるので、違和感を楽しむというのもいいかもしれませんね(笑)。
M2 明日に向かって
デビューシングルのカップリング曲。当時のことを知らない世代は、この曲はJr.のオリジナル曲だと思っている方も多いのではないでしょうか? 私もJr.の番組でこの曲が歌われて「原曲:嵐」と書かれていると「嘘でしょ?」と思っていました。
それくらい「Jr.感」の強い曲で、誰かがめちゃくちゃ前に出るということもないし、「A・RA・SHI」ほど強烈な印象を残すような曲でもないんです。少なくとも私の中では。感想をと言われても「めちゃくちゃ若いな!」くらいしか思いつきません(笑)。
M3 SUNRISE日本
セカンドシングル1曲目。大野くんを主にしたボーカルと翔くんのラップという構成は変わらずですが、この曲ではストリングスの音が強調されていてデビュー曲とはまた違った印象になっています。
翔くんのラップが前面に出る部分と大野くんの伸びやかなボーカル部分では、バックの音もガラッと変わるんです。前述のストリングスは主に大野くんのボーカルのバックで活躍。曲全体としてはスクラッチ音が入るなど、ヒップホップアレンジになっています。私個人的には「ヒップホップ」と「ストリングス」は真逆のイメージだったので、アレンジでそれぞれの分野の押し引きを調整すれば1曲にうまく同居させられるんだなぁ、と驚きました。
M4 HORIZON
セカンドシングル2曲目。このシングルは両A面だったのでカップリングが存在せず、表題曲が2曲収録されました。この曲は「嵐のシングル曲で唯一ミュージック・ビデオが制作されなかった曲」としても有名です。
この曲はヒップホップ色が全面に出され、歌詞の内容も日常に寄り添った内容になっています。最近あったいいことについて「昨日百円拾ったくらい」、つまり全然いいことがないと嘆いているくだりが個人的に好きです。
この曲の音楽的な推しポイントとしては、ラップに入る時にテンポダウンするところ。私は音楽について詳しいわけではないのであまり具体的なことは言えないんですが、あのテンポダウンは「この後ラップが来るぞ」とワクワクさせてくれるんです。こればかりは文章だけだと意味不明だと思いますので、興味がある方はぜひ実際の曲を聴いてみてください!
M5 台風ジェネレーション-Typhoon Generation-
3枚目シングル。
当時の嵐の戦略として、毎回曲の始まり方を変えようというものがあったようです。デビュー曲は翔くんのラップから、セカンドシングル(1曲目)は大野くんのソロパートからでした。じゃあ次はどうしようということで、セリフで始まるという案が出たそうです。
そのセリフを担当するのは二宮和也くんボーカルパートではありませんが、これが二宮くんの最初のソロパートということになります。
その後は翔くんのラップ×大野くん中心のボーカルという基本構成。ただこの頃になると、個人の判別は難しいですが、「サビ以外のところで大野くん以外も歌ってる!」ということが認識できるようになってきます。最初にそれに気づいた時、とても嬉しかったことを今でも覚えています。
この曲が面白いのは、1番と2番でテンポが変わること。この手法はデビューシングルでもみられましたが、この曲ではガラッと雰囲気を変えるためにテンポチェンジをしているんです。ミュージック・ビデオを見ると、それがよりはっきり分かると思います。衣装も撮影シチュエーションも2パターン用意されているんです。
デビュー記念日である11月3日には、嵐の公式YouTubeチャンネルにてミュージック・ビデオが公開されます。興味が出てきた方はぜひご覧下さい!
M6 明日に向かって吠えろ
3枚目シングルのカップリング曲。初期の頃はライブの定番曲で、会場の全員で盛り上がれる曲だったのでいろんなセクションに配置されていました。
曲を聴いていると「まだまだ若い」と感じます。サビの歌詞にも「自転車撤去されてもぜんぜん気にしない それは無理だ」なんていう微笑ましい描写が登場したりするんです。
しかし作品数を重ねて、嵐も徐々に大人になっていくのかなと感じたのが「恋は面倒だとか言ってる時が誰よりも実はしたかったりして」という一節。カッコつけたくなる自分と、それさえも冷静に分析してしまう自分。まさに子どもから大人になっていく過程を描いた曲なのかなと思います。
M7 感謝カンゲキ雨嵐
二宮くん出演ドラマ「涙をふいて」オープニングテーマ。シングルでは初の連続ドラマタイアップです。
元になった言葉は「感謝感激雨霰」。しかし今となってはこちらの方が有名になってしまったんじゃないかと思えるほどのインパクトがありますよね。実際予測変換も「雨霰」より「雨嵐」の方が先に出てきたくらいです。
嵐ファンの方に「嵐の初期の代表曲といえば?」と質問したら大多数の票がデビュー曲かこの曲に入ると思います。私も嵐ビギナーの人に曲をおすすめする時、「とりあえずデビュー曲と感謝カンゲキは知っておいた方がいいよ」と言います。ライブがダイジェストではなくフル収録されるようになった「How's it going? SUMMER CONCERT 2003」から活動休止直前の「This is 嵐 LIVE 2020.12.31」までほぼすべてのライブで歌われているくらいの人気曲なので、とにかくまずは聴いてほしいです。
M8 OK! ALL RIGHT! いい恋をしよう
このアルバム随一の陽気な曲。いい意味で軽いノリというか、ハワイアンな音が入っていたりもして手拍子したくなるような曲です。歌詞もとてもポジティブで、今までの「若者の複雑な心情」を代弁したような歌詞とは雰囲気も違います。嵐の新たな一面が見えます。
M9 君のために僕がいる
この曲くらいから、大野くん以外もボーカルで存在感を放つようになってきます。特に二宮くんなんかはとても分かりやすいんじゃないでしょうか。
私が本格的に嵐ファンになったのは10周年の時なんです。なので正直この頃の曲に関しては、これ以降の曲よりも圧倒的に聴いていないんですね。なので音楽的な分析は少しはできても、思い出のようなエピソードはほぼないと言っていいレベルなんです。なのでこれからもっと聴き込んでいきたい曲です。
M10 はなさない!
この曲が正直、一番印象が薄いです。
というのも、M2の感想と同じになってしまうんです。「とてもJr.っぽいなぁ」という。嵐に限らずですが、90年代にデビューしたグループの初期楽曲の多くは似ているんです。ソロパートがなく、複数メンバーで歌うパートも極めて少ない。グループの色を覚えてもらうため、メンバー全員のユニゾンが大半を占めるんです。
そしてこの曲、タイトルからも想像できるかと思いますが、とても子どもっぽいんです。
デビュー初期じゃないと子どもっぽさを押し出した曲は無理が出るし、大人っぽい曲をやっても「背伸びしてる」という印象になりかねないからこういう曲が増えるのは分かるんですが、今の嵐を知っていればいるほど「お腹いっぱい」という気持ちになってしまうんです。これって私だけ?
M11 時代
松本潤くん主演ドラマ「金田一少年の事件簿」主題歌。リアルタイムではありませんがこのドラマは私も見ていたので、他の曲よりかは思い出に直結します。
シングルでは初めてと言っていいくらいのクール路線の楽曲で、曲自体はとても好きなんです。しかしここに来て、大野くんのボーカルと翔くんのラップ、そして他のメンバーというパート構成が復活。翔くんのラップも今より攻撃的で新しい一面だし、大野くんのボーカルも安定感が抜群になっているんですが、せめて潤くんにだけはソロパートあげてほしかったな、と思った曲です。
M12 恋はブレッキー
カップリング曲で初めて翔くんのラップが登場。この曲は大人な女性に振り回されるという、今までの嵐にはなかった世界観の曲です。社会に対する漠然とした憤りや不安は若者の代名詞だと思いますが、やっぱり失恋や振り回される恋というのは避けて通れないものだと私は思っています。そういう曲を歌うようになって、嵐は新たなステップに進んだんだなぁ、と感慨深かったです。
まとめ
この作品から嵐は、事務所内に作られたプライベートレーベルに移籍することになります。それをきっかけに「ジャニーズの若手」ではなく「嵐」という唯一無二のグループとして、嵐にしか描けない世界をどんどん広げていくのです。
これからは定期的に、嵐のアルバムや映像作品についての記事も上げていきます。来年のデビュー記念日までに、私が所有するすべての作品について記事を書くことが目標です。ぜひお付き合いください!