「崩壊するマイセルフ」あとがき

 9月19日、私が書いた初めてのミステリー小説「崩壊するマイセルフ」が無事最終回を迎えました。思った以上に反響があって嬉しい限りです。そこで今回は、いわゆる舞台裏というか、創作過程をありのまま公開しつつ、ネタバレありで反省点なんかも書いていこうと思います。ぜひ最後までお付き合いください!


アイディアの発端

 もともと「毒殺ミステリーが書きたい」という漠然とした願望がありました。しかしこの時点では「アイディアの種」というべき段階。ストーリーなどは全く浮かんでいませんでした。
 転機となったのは1人のフォロワーさんのリクエスト。私の記事をずっと読んでくれている方はご存知かと思いますが、「合コンで出来る新しいゲームを考えてほしい。頭使うやつで!」というめちゃくちゃざっくりしたオーダーが。
 それでいわゆる即興演技、エチュードのようなゲームを考えたのですが、その時例として出した設定がまんまプロローグになっています。
 私は映像が浮かばないと小説を書き出せない人間なんですが、冒頭シーンさえ決まればどうにかこうにか書けていくんです。というわけで念願の「毒殺ミステリー」の執筆に取りかかったわけです。

キャラクターについて

 主人公の山下亮については、私自身の性格を十二分に投影しました。被害者兼ヒロインの美月は、私が思い描く理想の女性です。「本来の自分だったら絶対に失いたくない人物」を被害者にすると決めていたので、美月には理想の彼女像をこれでもかと当てはめました。
 刑事の古田と今西のコンビについては、LINEグループを組んで下さっている仲間たちのキャラクターや関係性をヒントに作っていきました。台詞回しや名前については、ドラマシリーズ「古畑任三郎」から強いインスパイアを受けています。

 さりげなくこだわったのがキャラクターの名前。いつか気づかれるかとビクビクしていたんですが、指摘してきた人は誰もいませんでした。
 まず山下亮。これはもう丸出しですが、山下智久くんと錦戸亮くんの組み合わせです。主人公のもうひとつの人格「ユウヤ」は手越祐也くんから取りました。
 と、ここまでは偶然だったのですが「ここまできたなら」と欲が出ました。なので、NEWSの現メンバー全員の名前をどこかで使おう、と決めました。その結果登場したのが小田という、今西に貴重な意見をくれるキャラクターです。小山慶一郎くんの「小」と増田貴久くんの「田」を合わせました。
 それぞれのキャラの性格を考えていく上でモデルにした人物は特にいないつもりですが、もしこの作品が映像化されるならこんなキャスティングがいいな、くらいの妄想はしていました。普段の私のエッセイを読んで下さっている方は想像がつくでしょうが、ほぼ推しで妄想していました(笑)。

ミステリーを書いてみて

 私はこれまで少なくとも600冊は小説を読みました。小説以外のジャンルも含めると、1000冊に迫る読書量だと思います。しかしそれでも今回、読書量が圧倒的に足りないと痛感しました。実際に「ミステリーを書くぞ」という意気込みで臨んだことで「俺にミステリーはまだ早かったな」ということが分かりました。
 もちろん、今の時点で出せる全力は尽くしました。ただ、自分で改めて読んでみると「何か足りない」という感想になってしまうんです。
 この作品には、ミステリーの醍醐味とも言える「トリック」がありません。強いて言うなら冒頭で少し叙述トリックらしきものを試みた程度。しかしミステリーは、やっぱり犯罪行為に何らかのトリックが絡むから面白いんです。そして私にはまだ大掛かりなトリックを仕掛けられるほどの知識も、筆力もない。しばらくはアウトプットよりインプットに注力しようと思います。

みなさんからの応援

 この連載ほど、コメント欄が賑わった記事は今までありませんでした。そしてコメントを下さった全員が「大変面白かった」という感想を下さって、それが励みになりました。この場を借りて改めてお礼を申し上げます。ありがとうございました。

小説家ドラゴンの今後

 しばらくはエッセイと「推しの作品を語る」をメインに書いていくつもりです。小説を書くにしても、まずはリフレッシュしたいなぁ、と思っています。小説でドラゴンに興味を持って下さった方は、ぜひ他のジャンルの文章も読んでみてほしいです。

 一部のフォロワーさんから「もう少し枚数を増やして何かの賞に応募すればいいのに」という何とも嬉しいお言葉を頂きました。また別の方からは「ユウヤ視点の物語も読んでみたい」という感想を頂きました。
 実は私もかなり悩んでいます。今回のストーリーでは、ユウヤを単なる「殺人マシン」であるかのように描いてしまいました。多重人格という設定だけを決めて走り出してしまったが故です。
 なので次回作としては、ユウヤが主人公の話を書くつもりです。今作「崩壊するマイセルフ」と次回作は、同じ世界観で書きます。今作と次回作は繋がっているが、どちらから読んでも、もしくはどちらかだけ読んでもエンタメとして成立するような作品になればと思っています。
 今回、あえて枚数を抑えた感もあったんです。noteでは文字数が多い記事は読まれづらいということが実感としてあったからです。しかし今回で、多少長くても興味のある方は読んでくれるということが分かりました。次回作では今作の読者を離さないように、恋愛や友情なんかも絡めた総合的なエンタメ小説を目指します。連載開始時期は……なるべく早く! ごめんなさい。今はこれ以上のことは言えません。少し頭をクールダウンしたいです。

最後に

 本編からあとがきまで、ここまで時間をかけてしっかりと書いた小説は初めてでした。それもこれも、すべて読者の方々や励ましてくれたフォロワーさんたちのおかげです。ずっと「書く」ことは楽しかったけれど、「公開する」ことが楽しかったのは今回が初めてでした。みなさん、本当にありがとうございました!

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