【ドラゴンのエッセイ】異性の親友との向き合い方
俺のエッセイによく登場する、女性の親友Nさん。出会ってからかれこれ5年くらい経つ。彼女に話したこともあるが、異性だということで付き合い方を考えた時期もある。今回は包み隠さず、葛藤の歴史を書いてみようと思う。Nさんに知ってもらう意味も込めて。
俺個人の考えを言わせてもらうと、友情に性別は関係ないと思う。男女の親友関係があってもいいし、親友から恋愛に発展するのもいい。
ただ、ひとつだけ問題がある。相手に恋人ができた場合だ。恋人にとって異性の友人というのは歓迎できる存在ではない。一歩間違えればその友人と恋愛関係になってしまうおそれがあるからだ。
俺の場合も、そういうことを考えなかったわけではない。Nさんに恋人ができたと知った時は、関係を絶とうかどうか本気で悩んだ。けれどNさんは俺にとって、女性である以前に気の合う仲間であり、家族以外では唯一と言っていいほど俺のことを理解してくれる人だった。
詳細は省くが、出会った当時は2人とも本気で自殺を考えていた。それを思いとどまらせたのが、お互いの存在だった。仲良くなったきっかけはそれだ。
それから恋愛になるかどうかみたいな空気感になったこともある。けれど結果的にそうはなっていない。この理由というのは、やはり俺が障がい者だというのが大きいと思う。
でも俺は、それでよかったと思っている。もしNさんと本気の恋愛をしていたら、早いうちに大喧嘩になって別れていただろう。当時は俺も、健常者と障がい者の間にある壁の分厚さを理解しきれていなかった部分もある。その状態で感情に任せて恋愛関係になっていたら、俺は間違いなく大切な理解者を1人失っていただろう。
だからこそ、もうNさんと恋愛したいという考えは捨てることにした。今のような友人関係が続けられるのなら、俺にとってこれほど幸せなことはないからだ。
また、Nさんとの関係性を持っているからこそ次の恋に進めるという気持ちもある。「俺は女性の親友だって作れたんだ。だったら恋人を作ることだって夢じゃないかもね」くらいに考えられる。
それもこれもすべて、Nさんが教えてくれた感情だ。誰かに恋をすることも、誰かに必要としてもらえる嬉しさも。だからこそ、今後2人の関係がどうなっていくべきかというのを真剣に考えた。しかしある時、相談員さんが便利な言葉を教えてくれた。「推し」だ。
とてもしっくりくる言葉だった。Nさんのことは大好きだが、これはもはや恋愛感情ではない。でも現代なら、この感情を「推し」というひとつの言葉で表現できる。
会えるチャンスがあるなら会いたいし、一緒に遊んだり話したりして、楽しい空間を作れたら最高だ。これは、俺が今までジャニーズのアイドルだけに抱いていたと思っていた感情。でも、親友にも抱いている感情だった。このことに気づいた、そして相談員さんという他人から肯定してもらえた今ならば、彼女とより良好な関係になれる気がする。
必要だと言ってもらえるなら、俺はこれからもNさんの親友でいたい。それと同時に、心の準備もしている。俺から関係を終わらせたいと言うことはおそらく一生ないが、Nさんの方は分からない。結婚、出産、子育て、仕事。俺なんかより優先すべきことは、たぶんいくらでもある。
それでも貴重な時間を俺と会って話したり、カラオケしたりすることに使ってくれると言うのなら、俺はとても嬉しい。
あーだこーだ言いながら、笑ったり泣いたり怒ったりする。まあ、笑い以外は極力少ない方がいいけれど、ネガティブな感情もぶつけ合えるのが親友だと思うから、今のような関係をどちらかが死ぬまで続けていきたい。
これが、俺が異性の親友であるNさんに対して思っていることである。少し恥ずかしくはあるが、包み隠さず書いた。参考にしてくれる方がいたら嬉しい。友人関係なんてのは結局、お互いが楽しく過ごせるかどうか。それ以外の判断基準なんていらないと俺は思う。
最後に、Nさんへ。
これからもできる限りいっぱい会って、2人の人生を幸せな思い出でいっぱいにできたらいいね!
ドラゴンより。