名曲597 「最後の雨」【中西保志】
ーー評価が進んで進んで隠れない名曲にーー
【最後の雨/中西保志】
6月最後ということでトリはこの曲に。中西保志の「最後の雨」だ。いやはや、雨3連発になってしまったがこれで最後にしましょう。もうすっかり夏である。梅雨はとうに過ぎた。
この曲はいよいよ説明不要の域に達しつつある。元々は1992年の曲なのだが、90年代前半によく見られる「売れていないけど名曲」というカテゴリーにあった。当時のオリコンを見てみると、ベスト10はおろか、その先をたどってもなかなか巡り会わない。それもそのはず、例によって当時は評価されていなかった。しかしじわじわと再評価されていき、ついにミリオンヒット級(厳密には到達していない?ようだ)の売上にまで伸びたのだ。いまでは平成の名曲としてテレビなどで取り上げられることも多い。
{本気で忘れるくらいなら 泣けるほど愛したりしない 誰かに盗られるくらいなら 強く抱いて君を壊したい}
このサビがあまりにも有名である。これが人間のリアルであり、きれいごとではないのにきれいな愛の表現だ。言葉に力があるというやつで、現実的かつ再現性の高い感情を簡潔に字足を乱すことなくまとめている。このサビの技術はすごい。できそうでできない。
{言葉に出来ないのが愛さ 言葉では君を繋げない 行き場ない愛がとまらない 傘を捨てて雨を見上げてた}
{本気で忘れるくらいなら 泣けるほど愛したりしない 誰かに盗られるくらいなら 強く抱いて君を壊したい}
大サビもいい。流れるように畳みかけるさまが爽快感抜群だ。
この曲は数多くのアーティストがカバーしているのだが、中西保志の歌唱力(声質)を超えるものはなかなかいない。男性では特に厳しいだろう。カバーするなら女性のほうが色が出てひとつの作品になるという感じがする。
余談だが、母はいつも中西保志と中西圭三がごっちゃになる。タイプはまるで違うのに名字が一緒なせいで混乱する人も多いようだ。保志は最後の雨、圭三はウーマン。いつも私が訂正しているのだが、この覚え方は覚えやすいけどもいかがなものか。どちらも一発屋という印象が残ってしまっている。
【今日の名歌詞】
明日の君を救える愛は僕じゃない でもこのまま見つめている