名曲391 「うれしい!たのしい!大好き!」[Chris Hart]

ーー本家よりハッピーそうに歌える心からのリスペクトーー

【「うれしい!たのしい!大好き!」by Chris Hart】

 クリス・ハートはいつだったか日本でブームになっていた気がする。と書くと怒られそうなのだが許してくれ、最近の音楽事情はほとんどわからないのである。この方を知ったのはもう何年も前だった。

 やたらと歌のうまい外国人がいると家族で話題になったのは少なくとも3年前。カラオケ番組だったかニュース番組だったかで存在を知った。その人がテレビに映ると、そりゃそうだと思った。歌のうまい体型をしているのである。腹から存分に声が出せそう、声帯も強そう。おまけにアメリカン。どれをとっても日本人離れしていそうだ。

 どんな野太い声が出るのだろうと見てみるとこれは驚いた。なんてきれいな声なのだと。スティービーワンダーも笑みを浮かべそうなハイクオリティであった。そうしてアルバムを買ったのだった。

 その中に収録されていた1曲目が確かこの曲だったと思う。皆さんご存知ドリカムの「うれしい!たのしい!大好き!」だ。実はこの原曲はあまり好きでなかったのである。

 理由は簡単。暗かったからだ。吉田美和の声質のせいかもしれないが、突き抜けたハイトーンのほうが合うのではと首をかしげた。出だしも暗く感じた。こんないい意味でバカっぽい歌詞なのに大人びている吉田美和の声とはアンバランスではないかと。

 そのモヤモヤを払拭したのがクリス・ハートだったのだ。この方は私の理想とする「うれしい!たのしい!大好き!」を創り上げたのである。出だしの煌びやかさはもちろん、全体的にさらにポップに仕立て上げている。「ラララ~」も完璧。サビの声の跳ね方もズバッと決めている。

 私はあまりカバーを評価しない派なのだが、これは完全に原曲を超えた。同時にクリス・ハートの凄さを思い知らされたのだった。何より細部まで原曲に沿っているのでリスペクトが感じられる。

 ちなみにクリス・ハートの顔はもう何年も思い浮かばなかった。音楽がよくれば顔はどうでもいい主義なのである。えーっと誰だったっけと思い浮かべるとマテンロウのアントニーがいつも浮かんだ。違う違うこの人じゃない……どうしてもアントニーが居座る。そうして定期的にこの曲を聴いてジャケットを見返しては顔を再認識するのである。これじゃいかんなあ。モテないなあ。

       【今日の名歌詞】

やっぱりそうだ めぐりあえたんだ ずっと探してた人に いつもこんなにシアワセな気持ち持ち続けていられる あなたがそうだ あなただったんだ うれしい!たのしい!大好き!



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