名曲937 「哀 戦士」【井上大輔】[機動戦士ガンダムⅡ]
ーー幼少期に覚えた盛り上げと死ーー
【哀 戦士】
この曲はもうガンダムファンのみならず一般的にもかなり知られていると思う。言わずと知れた名曲なわけだが、私との出会いはまだギリギリ幼稚園くらいであった。つまりすごく早く知れたのだった。それが名曲だという認識も、すでにその頃からしていた。
最大のインパクトはサビの歌詞であろう。死にゆく男たちは守るべき女たちに。これをわざわざひと溜めまでして盛大にドカンと歌いあげている。これが普通のアニソン(昭和)と比べてすごい演出をしているのは子どもでもよくわかった。そして衝撃なのは繰り返しになるがサビの歌詞。「死」が出てきてしまっているのである。
これはいまだとどう捉えられるのだろうか。いわゆるシリアスな演出、世界観の構築でやるのはいいと思うのだが、作詞の井荻鱗さんも苦悩したのではないか。死神だとか血へどだとか、普通じゃ考えられないワードがうじゃうじゃあるのだ。ただ、極限の戦いだということがズバッとひと目でわかるし、これぞアニソンだと思うのである。極めつけは歌詞の中にひとつも「ガンダム」と出ていないこと。なんだろう、人間、戦争、死。もっと大きな括りがテーマといえそうではないか。
最後の大サビは私もいたく興奮したものだった。あれがシャウトなのだと、もしかしたら初めて知ったかもしれない。構成も見事。作曲の井上大輔の手腕が光るのである。
これは後世に残すべき名曲だろう。昭和に生まれた渾身の一発である。そのインパクトはきっと100年後も同じであると思いたい。むしろどんどん増していくと思われる。時代的に。
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