名曲341 「輪舞曲」【松任谷由実】

ーー小粋なステップで踊りたくなるーー

【松任谷由実 - 輪舞曲(ロンド)】

 前回の松任谷由実の曲で、2大なんちゃらと書いて出し渋っている感じでいたが訂正したい。出し惜しみせず書いていく。今回は隠れた名曲を。

 「輪舞曲」は90年代に発表された松任谷由実の曲。代表作が多すぎるが故に隠れてしまった感がある。歴代の名曲といわれる楽曲群からは少し地味、それで松任谷由実のオリジナルキャッチーなメロディーというよりは、元々あった主旋律に詞を足していった。そんな印象を抱いている。

{キャンドルに灯をともしましょう 思い出みんな照らすように あなたのくれた微笑みで 泣きだしそうに見えるでしょう おどけてほほを寄せれば 背中に置かれた手のひら あなたの知らぬ傷跡も 雪解けに咲くクロッカス}

{さあ ヴェールあげて 初めての瞳で 誓いのキスに 高くはばたかせて さあ ページあけて 名前綴ったなら 愛の証しは フォルクローレになる}

 カタカナよ。カタカナの癖がまあまあ強い。英語を決して使用しないのは信念すらも感じさせる。ロンドはイタリアの楽曲なのでよくわからないがイタリア語なのだろう。2番には「フィエスタ」という単語が出てくる(調べてみるとスペイン語で祭り。んん?)。

{あなたに抱かれ まわるまわる輪舞曲 涙も夢も めくるめく フィエスタ もう神様しか 二人を離せない 語り継がれる フォルクローレになる}

 まあそんな細かいことは気にせず、雰囲気よし。サビが洋風で小粋だ。PVがモノクロなのも頷けるところで、戦前のイメージすらもある。ローマの休日感もどこかちらり。

 しかしこのPV、どこか不穏な感じもないだろうか。アメリカのホームドラマのようなハプニング。それでも笑顔を絶やさない松任谷由実。ただ輪舞曲を歌う。

 このアンバランスを楽しんでこそ、アートであるといえる。どこかいい加減な感じがイタリア、スペインっぽくていい。楽しければそれでいいのだ。本場の輪舞曲はきっとこんな感じなのだと思う。

       【今日の名歌詞】

あなたに抱かれ まわるまわる輪舞曲 涙も夢も めくるめく フィエスタ もう神様しか 二人を離せない 語り継がれる フォルクローレになる




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