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名曲141 「夢をあきらめないで」【岡村孝子】

ーーそれぞれの道を歩いていく。全員が持っている心ーー

【夢をあきらめないで】

しばらく青春ソングが続いたが、この曲が総本山といってもいいだろう。学校の教科書に載るレベルとあって非常に完成度が高く、まさしくお手本のようだ。

岡村孝子はあみんでおなじみ。ソロになってからはこの曲が一番有名なのではないか。おそらくは世代でない人でさえも知っているはず。

{乾いた空に続く坂道 後姿が小さくなる 優しい言葉探せないまま 冷えたその手を振り続けた}

歌詞の描写が絶妙。今まで多くのうまい描写を紹介してきたが、これは青春ものの中でもトップクラスだろう。

{いつかは皆旅立つ それぞれの道を歩いていく}

サビ前の盛り上がりもいい。それでいて歌詞は切ない。

{あなたの夢をあきらめないで 熱く生きる瞳が好きだわ 負けないように悔やまぬように あなたらしく輝いてね}

この曲は失恋ものと捉えてよさそうだ。ZARDのマイフレンドもそうだが、去っていく彼を後ろから見守っている構図である。マイフレンドは横だが、こちらは後ろ。より切ないではないか。きっと彼の大きな背中が見えなくなるまで手を振り続けていたのだろう。

{苦しいことにつまづく時も きっと上手に越えて行ける 心配なんてずっとしないで 似てる誰かを愛せるから}

2番になって完全に離れてしまったあとの情景がうかがえる。似てる誰かを愛せるというのもまた切ない。もちろんちょっと強がっているに違いない。

{切なく残る痛みは 繰り返すたびに薄れていく}

そしてとどめの切なさ。いつかはあなたとの別れの痛みも消えていくのだろう。

{あなたの夢をあきらめないで 熱く生きる瞳が好きだわ あなたが選ぶ全てのものを 遠くにいて信じている}

あなたが選ぶ全てのもの。どういう進路に進むかはわからない。それでも信じている姿が美しい。岡村孝子節が炸裂している。

この曲は私の記憶が正しければ「逆境ナイン」の主題歌に選ばれていたはずである。このとき、「あ、学校で歌った曲だ」と思った。教科書の曲が映画の主題歌になるなんてと驚いたが、そのおかげで「あの曲好きだった」とクラスで再評価されたのを覚えている。そのタイアップがなければ「ふーん教科書の歌か」くらいの認識で済まされていた。

意外と教科書に載るJ-POPの曲って、万人受けされきっているからか学生からの評価は薄かったりする。学校で習う曲より今のJ-POPのほうがイケてるよねと。でも、大人になってから偉大さを知るのだ。ああレジェンドだったんだなあと。

【今日の名歌詞】

切なく残る痛みは 繰り返すたびに薄れていく


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