名曲814 「エロティカ・セブン」【サザンオールスターズ】

ーーこれほど自由に曲を作っていいのかーー

【エロティカ・セブン  サザンオールスターズ 高音質】

エロティカ・セブン  サザンオールスターズ 高音質 - YouTube

 昨日に続いて高校時代によく聴いていた曲を思い出した。これはこれでとんでもない衝撃だったなあ。サザンの「エロティカ・セブン」だ。

 まずタイトルが面白い。セブンがなんとなくウルトラセブンを連想させるのでヒーローものっぽい雰囲気だ。ジャケットからも5人組ヒーロー(ダークヒーローか)って感じがする。ちなみにそのジャケットは7分くらいじーっと見つめてしまうくらいには大好き。

【PV】エロティカ・セブン‐サザンオールスターズ - YouTube

 PVのわけのわからなさも相変わらず。ヒトラーだとか例の暗殺中継だとか、今じゃ放送できないものばかりだ。

 サザンの中でも屈指の自由な曲ではないだろうか。私はたまげた。テーマがまず斬新なのに対し、メロディーはしっかり芯が通っているのだがこれまで聴いたことがない旋律である。これには桑田佳祐をただただ天才と思うしかなかった。私には一生かかってもこんな曲は作れない。

 この曲が売れた1993年はすでにサザンの人気はとんでもなかったはずだ。だが恐らく、この曲は人気の勢いだけでミリオンを達成したわけでないと感じる。これほど自由で斬新な曲はないからだ。ちなみにこの曲の前にリリースされたのは「涙のキッス」。まったく正反対の人気曲だ。このギャップもたまらない。

 歌詞は全体的に感じ取ってくれといわんばかりのエロい描写ばかり。しかし私は当時高校生だったとはいえ、そことは違う視点に目を向けていた。それはラスト大サビに向けてのこの部分である。

 「魅せられて地獄の果ては」

 ここがですね、意味わからないと思うが当時は衝撃だったのだ。地獄の果てというワードチョイスと、それをはめ込んでも違和感のない仕上がりに驚いたのだ。これまでのサビの入りは{「だ」きしめて}、と{「だ」れよりも}というDAで始める歌詞だったのに、地獄の果てという強烈なワードを恥ずかしがるかのようにさらっと小声(っぽく感じる)で「魅せられて」というさまに、そこに真のエクスタシーを感じたのだった。そういえば地獄の果ての入りも「JI」であるが、「WA」でなくガラッとこちらも変えている。そのバランス感覚たるや。何もかも計算しつくされた絵画のようではないか。

 やはり芸術というレベルに達しているのであろう。サザンのポップな曲は基本的にどれも質が高いのだが、これは遥か異質な完成度である。後世まで語り継がれて、300年後にまた再評価されてほしいと願う。

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