迷曲12 「ダメおやじの唄」【大泉滉/雷門ケン坊/サカモト児童合唱団】[ダメおやじ]
ーー現代では炎上必至の強烈ギャグアニメーー
【『ダメおやじ』♬ OP・EDフルバージョン】
昔のアニメはいまじゃ放送できないような内容が多い。それは発言が放送禁止用語や差別の表現が含まれているような微細なものであることがほとんどだが、今回取り上げる曲の作品は丸ごとアウトなものである。
YonTubeで調べてみると何話か出てきたので、実際に見てほしい。
いやはや、強烈も強烈。よくぞこれをアニメで流せたものだ。当時の倫理観を疑ったが、それは時代による背景もあったようだ。
というのも、1970年代はまだ父親の威厳が強かった時代で、男尊女卑の風潮が強かった。その中でこの主人公は徹底的に弱いもの扱いでいじめられている。これが当時はギャグとして成立していたようなのだ。しかしギャグの質は低俗も低俗で理不尽さが際立ち、笑いより困惑が優ってしまう。
調べてみると当時でも問題になったようで、放送中止や抗議があったとのこと。少し安心した。なお、ダメおやじは後々社長になって円満に暮らしたのだとか。
{ゲバラバ ヘバラバ テレビレビ ゲバラバ ヘバラバ テレビレビ へバラバ ゲバラバ テレビレビ へバラバ ゲバラバ テレビレビ}
早口言葉のような呪文。意外と歌ってみると難しい。このオノマトペは初めて聞いたが、ここは結構評価できるポイントと思う。
{わしはダメダメ ダメおやじ 今日も家ではオニババが 早く帰れと爪をとぎ わしの帰りを待っている わしはダメダメ ダメおやじ 会社じゃみんなにバカにされ うだつのあがらぬダメ平で 今日も無情の風が吹く}
軽快なメロディーで、ここまではまだふふっとなる内容。といってもいまじゃ不適切な表現があり、ギャグでも通用しない。当時のテレビはまだ大らかだった。
{わしが何をしたのでしょう このままいたんじゃ殺される 誰か助けて御願いだ オニババ・タコ坊・ユキ子 助けてちょうだい 御願いだ}
はいアウト。無事に迷曲入りでございます。これが男女逆だったら本能寺もびっくりの大炎上だったはずだが、普段強い男の弱々しいさまを見てギリギリ成立していたようだ。
半ば封印作品に近い扱いとなってしまった本曲。しかしメロディーのテンポは軽快そのもので、内容別にして「わしはダメダメダメおやじ~♪」と口ずさみたくなる。きっちり昭和アニソンのポイントも押さえているし、冒頭のオノマトペもいい。アニメを見て曲を酷評するのは早合点である。
ちなみにいちばん上の動画ではエンディングもしっかりフルで聴ける。そちらは普通に名曲なのだが、あまりにも歌詞が切ないのでこのまま迷曲の中でひっそりと紹介するに留める。
【今日の迷歌詞】
わしが何をしたのでしょう このままいたんじゃ殺される 誰か助けて御願いだ オニババ・タコ坊・ユキ子 助けてちょうだい 御願いだ