名曲842 「銀の指環」【TULIP】
ーー姫野のよさがわかってこそチューリップファンなのだーー
【TULIP 銀の指環】
この曲は例によって書いたと思っていた。私が財津和夫にハマったのでチューリップを聴くようになったのだが、より好きになったきっかけがこの曲と出会ってからだった。
当初、チューリップといえば財津和夫のイメージだったのだが、ボーカルが違う人だったことに面食らった。声の質もどこか若々しく、財津和夫とは真逆である。それに違和感があったのだが、いまの固い頭でなかった当時はすんなり受け入れた。そして、普通にいいじゃないかと脱帽に変わったのは時間がかからなかった。
当時のフォークらしく、非常に簡潔でテーマがはっきりしている。そしてメロディーがまったく暗くないのだ。これは貴重である。当時は歌に思いを込め過ぎてどんよりとしたものが多かった。そういう意味で私は部分的にフォークが大嫌いなのである。ところがこの曲はさっぱり爽やか爽快抜群。見た目も全然どんよりしていない。
メロディーラインが素晴らしい。その素晴らしさを前述の通り簡潔にまとめているから聞いていて気持ちよいのだ。不純物がないまっさらな海のようである。そしてワンフレーズ、私の好きなところがある。それは「二度と外れない不思議な指環」というところ。余韻が詰まっていて、なぜだろう、笑顔のふたりが浮かぶのだ。
財津和夫もいいけど姫野達也もいい。そう思わせてくれたこの曲は、新たな景色を教えてくれたという意味で感謝している。いまも輝いている銀の指環よ。