名曲232 「台風ジェネレーション」【嵐】
ーー嵐が誇る初期の最高傑作ーー
【台風ジェネレーション -Typhoon Generation-】
ひと昔前の嵐はその名の通り、曲名に嵐を連想させる曲がままあった。今回取り上げる曲もまさに。
「台風ジェネレーション」は初期の名曲といえる。前回(といっても名曲1以来)でも触れたと思うが私は初期の嵐が好きで、2009年くらいまでハマっていた。2000年代後半はかなりいい曲が多く、当時バリバリの学生時代で学校のみんなが聴いていたこともあって、カラオケで歌ったものである。いわば青春のような存在であった。
{じゃあ行ってくるから あっ、さよならじゃないよね また会えるから}
冒頭のセリフ。きゅんとくる。
{街を見おろす丘から あの日僕らは何を見てた やっと 二人きりになれた 照れながら あの日 「明日の朝早く僕は 上りの電車に乗るんだね」 卒業のあとの校舎 小さく 見つけた}
テーマは別れである。ただ、リアルタイムでなく別れからしばらくしてからの時期だ。
{行かないでと一言 つぶやいた君 あの時 僕は 見えない 夢を いだいていた}
{離れていても きっといつまでも 君のことを思っているよと 言った心が いまさら うずいて たまらないよ 君にさよなら 電話で告げた 過ぎてゆく 季節の中に 会えない 時間にも 距離にも 勝てない 僕らがいた}
サビはおしとやかだ。しかしそれはまだ序章。ここからじわじわと盛り上がっていく。YO,YOと軽いラップを挟んで目覚める。
{僕のコートの裏には 君のセーターの色が残り キスの時の香りが消えずにある どこか 大人びて見えた あれは口紅のせいだって 今なら さまざまに 思い当たることも あるが}
テンポアップ。バックのラララがきれいだ。
{片道の切符を ふざけたふりで とりあげ 君は 無理して 妙にはしゃいでいた}
{離れたらもう 駄目になるよと 君がうつむくの 打ち消して 僕はコートで ふるえる その肩 つつみこんだ こんなに笑顔 思い出すのに そこで途切れてしまう君 忘れてしまっても 忘れはしないよ 胸のどこかが}
2番でサビがパリッとした曲調に変わるのである。この構成は当時子ども心にすごいと思った。そして感動の幕引きへと向かう。
{行かないでと一言 つぶやいた君 あの時 僕は 見えない 夢を いだいていた}
このままいくのかと思いきや、いったん暗くなる。そして音楽が止まる。そして、強烈なドラムロール。
{君にさよなら 電話で告げた 過ぎてゆく 季節の中に 会えない 時間にも 距離にも 勝てない 僕らがいた 街を見おろす丘からあの日 君が見ていた「何か」を このごろ不意に わかった気がする こともあるよ 君に出逢った 君に恋した この体の奥に ずっと 君と見つめていた 景色がいつでも 流れている}
最後の大サビである。見事な構成だ。
曲調をしり上がりに上げていく構成を、私は「ジェネレーション式」と呼んでいる。こういう盛り上げ方を見せる曲はそこそこあるが、どれも突発的に上げていたり、2番以降にであったりと中途半端なものが多い。そういう意味で最初から最後までそういう構成に仕立てた作曲馬飼野康二はさすがであった。
ちなみに今後も嵐は取り上げるが、総じて2010年以降の曲ではないことを予告する。ただ単純に最近の嵐を知らないだけなんだけれども。
【今日の名歌詞】
君にさよなら 電話で告げた 過ぎてゆく 季節の中に 会えない 時間にも 距離にも 勝てない 僕らがいた