名曲145 「夜を越えて」【ホフディラン】
ーー円熟味を増したふたりの王道ポップナンバーー
【夜を越えて】
ホフディランという名を目にしたときは色物バンドなのかと思った。しかしそうではなかった。バリバリの本格派もいいところであった。
ホフディランは90年代後期にブレイクしたアーティストであり、現代ではややインパクトに欠けるかもしれない。ワタナベイビーの独特な声、小宮山雄飛のラジオなど、聞けばああ、あの人かと思うかもしれない。
夜を越えては最近になって発表された曲である。どうやらシングルではなくアルバム曲のようだ。たまたまYouTubeでホフディランを垂れ流しにしていたら耳にしていたのだが、これにはビビッときた。慌ててしっかりとPVを見てみると、90年代のころと比べて渋さが備わっているではないか。
ボーカルはワタナベイビーのイメージがあったのだが、この曲では小宮山のがメインになっている。正直、地味になってはいるもののこれはこれでいい。個性がだいぶ変わるとはいえ、声質のよさは上位である。
思うに、当初のホフディランはワタナベイビーの特徴的な声とそのバンド名で、広く皆に知れ渡ってもらいたかったのではないかと察する。それでは小宮山の声だと物足りなさがあったのかもしれない。それがいま、実力がついて余裕すら感じられるではないか。本格派。その三文字が揺れ動くことはない。
{夜の中で愛し合う僕ら 肌と肌をぎゅっと絡めるのさ 恋に墜ちてグっと入り込んだら 奥の奥に湧いて来る それが自由だ 生きる理由だ 僕は自由だ これが理由だ}
夜を越えるすなわち甘い逢瀬のことであろう。
{夜の中で感じ合う僕ら 肌が合えばすっと溶ろけるのさ 涙無しじゃ語れない位に 眩しく輝いたあの時は自由だ 生きる理由だ キミは自由だ 僕の理由だ}
徐々に猛々しくなっていくさまがわかる。
{夜の中でうごめいた何かも 朝になればパっとハジけるのさ 恋に墜ちて愛し合う僕らが 奥の奥で感じた光が自由だ それが自由だ 生きる理由だ まるで地球だ}
エロさの中にある上品な希望がまたいい。
{熱くなって もっと感じ合って 見つめ合って よそ見しないで 星になって 光になって 弾け飛んで 愛し合う僕は自由だ 生きる理由だ それが地球だ 君の子宮だ}
スケールが大きすぎてよくわからない。それほど大きな何か、一線を越えてしまったのだ。星や地球、光に匹敵するほどに。大きな何かを越えて。
【今日の名歌詞】
夜の中でうごめいた何かも 朝になればパっとハジけるのさ
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