名曲544 「ふしぎなメルモ」【出原千花子】[ふしぎなメルモ]
ーー不安定な中毒性。これが毒かというほどーー
【Fushigi na Merumo OP】
「ふしぎなメルモ」は手塚治虫作品の代表作のひとつ。1971年から1972年にかけて放送された。性教育をテーマにしたものらしく、内容は普通の魔法少女ものではなくエッチなシーンも多い。いまでは放送できなさそうな描写もあった。
今回はその主題歌を紹介。私の名曲の定義のひとつである、中毒性の部分で振り切った作品だ。当時リアルタイムで見ていた方でいまでも脳裏に焼き付いている人も多いのではないか。
{メルモちゃん メルモちゃん メルモちゃんが持ってる 赤いキャンデー青いキャンデー知ってるかい ちょうちょは玉子に ベビーは大人に 小さくなるよ 大きくなるよ スゴイよ}
{夢みていた ふしぎな世界へ また今日も連れてって ララ ララ ララ ラ メルモちゃん メルモちゃん メルモちゃんが持ってる 赤いキャンデー 青いキャンデー 知ってるかい ラララ ラララ……}
歌詞はいかにも昭和アニソン。歌詞に作品の特徴を盛り込むのはよいポイントだ。しかも具体的。赤いキャンディーと青いキャンディーがカギを握るということがわかる。
さてこの曲はサイケな感じがあるだけでなく、ある種の不安を覚える構成に思える。なんだろう、言葉でなかなか表せないのだが、夢の世界、それも悪夢にいるかのような。出原千花子の声と当時の音響が相まっているからだろうか。苦手な人も多いと思う。それだけ尖っている証拠ではあるのだが。
リニューアルでは怖さがなくなってかなりマイルドでポップだ。これはこれでいい。だが、当時の不安定かつサイケなほうを抹消させてはならないとも思う。だがだが、当時のまま平成、令和で出してしまうのは極論だとクレームに繋がるのではとも。そのくらいの危うさを持つ、不思議なパワーがあるのだ。
私の中で、この曲は名曲だが現代では不適切という見解である(リニューアルは別)。
それにしても当時のテレビアニメは性的な面で規制が緩い。いまの深夜アニメのほうが厳しいかと言われるとそうだが、お茶の間が見る時間帯では当時のほうが圧倒的に過激だ。すごい時代だったんだなあと思ったが、このままいくと50年後はどうなるだろう。女性ヒーローものはなくなっていると思っている。
【今日の名歌詞】
ちょうちょは玉子に ベビーは大人に