名曲349 「父をもとめて」【水木一郎、こおろぎ’73】[超電磁マシーン ボルテスV]

ーーフィリピンでも評価されたハイクオリティエンディングテーマーー

【父をもとめて/水木一郎、コーラス こおろぎ'73】

 『超電磁マシーン ボルテスV』は1977年から78年まで放送された、ザ・ロボットアニメである。このnoteでは何度目になるだろうか、またしてもスーパーロボットシリーズから名曲を紹介。いやはや、当時は質が高い曲が多くて。ちなみに前作はコンバトラーVで、そちらもかなりの有名作だ。

 ボルテスVなら堀江美都子も絡んでいるオープニング曲だろとお思いの方も多いだろう。そこをあえてエンディングにいきたくなるのが私。歌うは水木一郎とこおろぎ’73。例によってエンディングはバラードになるのだが、あの水木一郎のバラードはどんなものか。「ゼーーーーーット!」のイメージが強いお方だ。

 これが期待通り、非常にうまい。水木一郎のバラードは癖を少なめにして歌っているので、一層真心を込めているようにも(もちろん普段もそうだろうが)思うのだ。今回の曲はそれが歌詞とうまく結びついている。

{親にはぐれた ひなどりも いつかはやさしい ふところに 逢える明日も あるだろう だのになぜ めぐり逢えぬ 父のかげ}

{泣くものか ぼくは男だ 信じてる 信じてる その日のことを この手で父を 抱きしめる日のことを}

 涙を誘う。歌詞も情熱的だがさらに秀逸なのがメロディー。作曲はやはり小林亜星。この手のキャッチーな曲を作らせたらもう安心安定のクオリティである。

 作詞のあおいあきらは存じ上げなかったが、恐らくはこの当時から大ベテランだったのではないかと察する。それは微妙に古いいかにも60年代以前の歌詞っぽいからだ。「だのに」はもう死語。「若者たち」の歌詞以外で聞いた以来だ。現代は「なのに」がほとんど。でもそれが味があっていい。

 この曲はなんとフィリピンでも人気があったようで、当時の日本のアニメを輸入した際にこの曲もフィリピン人がカバーして国民的な曲になったのだとか。再放送でも再評価されたりなど、意外と知名度は高いそうだ。それは本当にありがたい。

 なぜなら日本人の大半がこの曲を知らないからである。エンディング曲というのはどうしても影が薄くなりがちだ。主役はオープニング曲に奪われてしまう。ワンダービートの回でも触れたように、それほどオープニング曲というのは重要な役割を持つ。そんな脇役にスポットを当ててあげたい。「この手に名曲を とりもどす日のために」。

       【今日の名歌詞】

親にはぐれた ひなどりも いつかはやさしい ふところに 逢える明日も あるだろう だのになぜ めぐり逢えぬ 父のかげ





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