名曲94 「Love Won't Wait」【Bobby Caldwell】
ーー世界に目を向けてみると、とんでもない美声の持ち主がいたーー
【Love Won't Wait】
1980年代、AORサウンドが流行し、その中で世界を魅了したのがボビーコールドウェルだ。
AORはアダルト・オリエンテッド・ロックという、大人向けのロックという意味である。当時はそういう風潮が人気だった。ロックといえば騒がしいものが多かったのだが、こちらは大人の余裕があって騒ぎ立てはしない。名曲41にも出たTotoもそうである。
ちなみにAORにはもうひとつ意味があり、アルバム・オリエンテッド・ロックというのもアメリカで定義されている。こちらはアルバム単位での完成度を重視したものだ。部分的にはミスチルの「深海」のような感じである。
日本でもAOR人気は高かったようで、未だに人気のジャンルである。最近ではシティポップが再燃しているとどこかで聞いたことがあるので、またボビーコールドウェルも評価されるのではないだろうか。このnoteで存在を知ってくれたら何よりである。
今回取り上げる曲はLove Won't Wait。知らない方のほうが多そうだ。この曲は「風のシルエット」のアルバム曲なので、どちらかというとシングルで発売されたWhat You Won't Do for Loveのほうが知名度が高いだろう。テレッテッテッテー。
なぜこの曲を推すかというと、サビの曲調の完成度が高すぎるのである。甘い。ただひたすらに甘すぎる。歌詞の内容も哀愁があっていい。歌い方もどこか切ない。
{Darling love won't wait Don't you hesitate In my love you'll find There is happiness for you}
直訳しようとするとそれだけで文量が多くなってしまうのでもうしない。ただ、愛は待ってくれないというのはどこか寂しさの上をいく悟りの境地にも見えてこないだろうか。ボビーコールドウェルの風貌からそう連想させられるのかもしれない。
いつか熟した年齢になったときに足を組みながら歌ってみたい。そう思わせる最高にクールな男、いやはや音楽はいい。
【今日の名歌詞】
Darling love won't wait Don't you hesitate In my love you'll find There is happiness for you