名曲222 「愛をこめて花束を」【Superfly】

ーー平成後期を代表する歌姫の神曲ーー

【Superfly 『愛をこめて花束を』Music Video】

 歌姫という言葉は重い。安易に使い過ぎては価値が低くなってしまうからだ。だがSuperflyは間違いなく歌姫と呼ばれる存在といっていいだろう。平成後期を代表する存在として、50年後も評価されているはずだ。

 今回はその超有名曲を取り上げる。当時は2008年。某アイドルグループがオリコンチャートを席巻する前の平成最後の時代である。ちなみに私は2010年以降を「暗黒」と呼んでいる。理由は察して。

{二人で写真を撮ろう 懐かしいこの景色と あの日と同じポーズで おどけてみせて欲しい 見上げる空の青さを 気まぐれに雲は流れ キレイなものは 遠くにあるからキレイなの}

 ピアノで始まる前奏から、緩やかな出だし。万人受けする曲調、コードだ。

{約束したとおりあなたと ここに来られて本当に良かったわ この込み上がる気持ちが 愛じゃないなら 何が愛かわからないほど}

 この心にくる熱い思い。じわじわとせりあがるように盛り上がっていくのがたまらない。

{愛をこめて花束を 大袈裟だけど受け取って 理由なんて訊かないでよね 今だけすべて忘れて 笑わないで受けとめて 照れていないで}

 素晴らしいサビ。この曲は至高のメロディーもあるのだがそれに伴う歌詞もまたいいのだ。たった6節だがすごくいい。2人の関係性や背景まで読み取れそうな勢いである。

{昨日とよく似た今日は 何気ない分かれ道を 分かって選びそびれた 臆病のせいでしょう}

 なるほどの文。「失敗」という表現を使わないほうがいい。歌詞の深みが増す。

{私は泣くのが得意で 最初から慰めを当てにしてたわ 何度も間違った道 選び続けて 正しく ここに戻って来たの}

 歌詞がマリアナ海溝並みに深い。間違った道を選び続けて正しく戻ってきた。誰もが心に刺さるのではないだろうか。俺も俺も、私も私もと。

{巡り巡る時を超え いつもあなたの所へと この心 舞い戻ってゆく 無理に描く理想より 笑い合える今日の方が ずっと幸せね}

 感動の超大作。これぞ結ばれた関係、愛のある証拠である。MVでも描かれているが、年老いた夫婦に贈りたい。

{violet, indigo, black and blue flame, yellow, purple, sky blue, pink, yellow green, ash, brown…… あなたに贈る色は……?}

 個人的にここは蛇足。昭和の時代ならカットされていただろう、しかしこれが平成の味か。そして最後の大サビに向けてのいいクッションになっている。

 Superfly、特にボーカルの越智志帆はかなり好きである。大黒摩季系統の力強い歌声で、こうやって受け継がれていくのかと感慨深さもある。この曲は時代が時代なら150万枚売れていたと思うのだが、未来の人は売り上げ以外で評価してくれるだろうか。

          【今日の名歌詞】

何度も間違った道 選び続けて 正しく ここに戻って来たの

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