迷曲6 「君に、胸キュン。」【イエロー・マジック・オーケストラ】
ーー自他共に認める黒歴史?--
【YMO「君に、胸キュン。(MUSIC VIDEO・HD Remaster)」 MUSIC VIDEO】
YMOはシンセサイザーを武器に一世を風靡したグループである。知らなくても坂本龍一、細野晴臣、高橋幸宏の3人が揃ったとわかればそれだけで「おお」とわかる人も多いと思う。私はライディーンで知った。衝撃的なイントロだったのだが当時は時代を先取りし過ぎていたのか、あまり売れなかったようである。
今回取り上げる曲は、いやはや思わず笑っちゃう迷曲を。これはMVがヤバいのである。罰ゲームで撮ったといってもおかしくない。いや、そうであってほしい。
おじさん3人が「キュン」と真顔で歌うさまはコメディーなのかホラーなのか。微妙なダサい振り付けも、本当に罰ゲームとしか思えない。世界に通用するテクノポップの大家がこんな醜態をさらしてしまって大丈夫なのかと不安になったほどだ。
{君に胸キュンキュン 浮気な夏が ぼくの肩に手をかけて 君に胸キュンキュン 気があるの?って こわいくらい読まれてる}
うーんきっつい。作詞はあの松本隆。「胸キュン」というワードはいまの軟弱な若者の恋愛を皮肉ったのではとまで想像させた。だがそれがかえって不気味さを増している。
恐らくいまの小中学生にこの曲のMVを見せたら大ウケするのではないかと思う。こういうのは小さい子が大好物。そんじょそこらのお笑いよりも笑いが生まれるのではないか。
散々書いたが、実はこの曲はYMOの最大ヒット曲なのである。確かにインパクトは他の追随を許さない。実際、令和のいまでもヒットしそうな雰囲気がある。だがこれでそれまで築いたイメージを崩してしまったのも事実だ。私の女性知人は当時、この曲でYMOの魅力が薄れてしまったという。本当のファンならこの曲も受け入れてほしいものだが、当時もやはり笑い者扱いだったそうで、それでかっこいいシンセのイメージが消えたようだ。
そこでサクッと調べてみたが、この曲は「かわいいおじさんたち」をコンセプトにした曲なのだとか。そしてグループとして終わりを考えていた時期に最後で一発かましてやろうという気概もあったそうだ。それがこの曲。色物はともかく、そういう背景を見るとちょっと品があるように見えてこないだろうか。
YMOの中でも異色の作品だが、いろいろなバックヤードを知ることで曲の価値が高まる。なんだか現代アートのようではないか。将来もしかしたらこの曲がいちばん高い値段がついていたりして。ともあれ黒歴史になりそうな曲とやはり笑ってしまうMVもあって文句なしの迷曲入りとさせていただく。
【今日の迷歌詞】
君に胸キュンキュン 愛してるって 簡単には言えないよ 伊太利亜の映画でも見てるようだね
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