名曲239 「無能の人」【GONTITI】
ーーこーこーろーがーちーくーちーくーちーくちくーちくいーたーいーー
【無能の人】
大学生のころ、邦楽映画に傾倒していたことがあった。大学の図書館っぽい中に映画を鑑賞できるスペースがあったのだ。よく空きコマに入って過去の名作を見たものだった。あれは充実した時間だったと思う。
その中で見たのが「無能の人」だった。竹中直人が主演監督を務める作品である。原作はつげ義春。
当然本編は貼れないので予告版を貼ってみる。これだけで雰囲気をすべて知ってもらうのは不可能だと思うので、ぜひレンタルで見てもらいたいと勧める。ネタバレになるのであまり触れないが、コメディーと哀愁のバランスが絶妙である。
そのテーマソングが「無能の人」。作曲はゴンチチ。正直この映画を見るまでまったく存在を知らなかったのだが、曲を聴いて驚いたものだった。慌ててスマホで検索したのを覚えている。調べてみると権威あるアコギのデュオだとわかった。
ゴンザレス三上とチチ松村のコンビでゴンチチ。1980年代から現在に至るまで活動している。40作品以上もアルバムを出していた。ただ、いまの若者は知らない人のほうが多いかもしれない。
この曲は映画の雰囲気によく合っている。心が安らぐような曲調。思わず目に浮かぶ木漏れ日。木々に囲まれた山道。川のほとりの石も見える。どこかそれは、無能な人を温かく見守る優しさを感じた。
石で思い出したが、この映画のキーポイントが石である。予告編にもあるように、石を馬鹿にしてはいけないという感じで、いろいろと石に振り回されていく。この世界観が妙に好きなのだが、同調してくれる仲間は少ない。
まあ、どちらかというとメジャーではなく隠れた作品という感じがする。そして、そういう静かに評価されていくほうが似合っている気がするのだ。そのほうが、映画の主人公、助川っぽい。そして原作者のつげ義春もそう望んでいる気がする。
【今日の名歌詞】
なし