迷曲2 「府中捕物控」【山本正之】
ーー三億円事件をパロディーにした愉快な発禁曲ーー
【山本正之 府中捕物控】
三億円事件は昭和史に残る大事件である。1968年に発生し、1975年に時効が成立。未解決事件となった。
この曲はその事件をパロディーにして歌っている。まあ三億円事件はほかにもあるのだが今回の舞台も曲にも府中があるので確実だろう。
曲調はポップ。しかしどこか昭和の匂いがぷんぷんするフォークの香り。当時はこういった皮肉が多かった。歌という武器が使えていたのだ。
今回はすべて歌詞を掲載する。
{あなたのしたことは ほんとに悪い事だけど 世間のみなさまに顔向けできない事だけど}
{七年前の寒い朝 日本全国あらゆる人が 新聞広げておどろいて 頭をガーンと打たれたっけ}
{雨にとどろくオートバイ 謎に包まれ 煙に消えて どこへ逃げたの かくれたの 気の遠くなりそうな札束を ひとりでニンマリ ほほえみながら 数えているのかしら 三(三)三(三)三三億円}
{(台詞)あーカワセ君 私はなんて悪いことをしてしまったのだろう お金は全部返すから なんとか許してもらえんだろうか}
{聖徳太子が にっこり笑えば楽になる けれども絶対にドロボーだけはいけません}
{それでも度胸のいいことと 何より奇抜なアイデアに 誰もがみんな目をみはり なるほどそうかと うなづいたっけ}
{雨にきらめくジェラルミン 謎に包まれ 煙に消えて どこへ逃げたの 隠れたの 息をひそめて 名をふせて ひとりでソワソワ ひめくりめくり 数えているのかしら 三(三)三(三)三三億円}
内容は完全に事件を嘲笑し、皮肉ったもの。しかしその皮肉が受け取り方によっては「よくやったね」みたいに同調を得てしまうかもしれない。不快に思う人も多そうだ。曲調がどこかヤッターマンっぽいのも皮肉の一種だろうか。
その結果、発売中止となっている。無理もないだろう。ちなみにこの曲はアルフィーにも提供されたのだが、あえなくこちらも発売中止となった。ところで山本正之はこの曲で思い浮かべた方も多いであろう、ヤッターマン関連の曲が有名。だが、ときにはこんな毒も吐くのだ。
【今日の迷歌詞】
聖徳太子が にっこり笑えば楽になる