名曲559 「林檎の木の下で」【おおたか静流】

ーーシコふんじゃったーー

【おおたか静流 / 林檎の木の下で】

 「リンゴの木の下で~」と口にすれば、「明日また会いましょう~」と返ってくる。そんな世界線もあったのかもしれないと、勝手にしみじみしては昭和の情景を思い浮かべる。何を言っているのかわからないと思うが、私もわからない。許してやってくれ、彼は力士なんだ。

 私は意外と映画好きである。大学生のころは施設内の図書館で、空きコマがふたつあれば1本映画を見るようにしていた。それはそれは有意義な時間だった。日本のありとあらゆる名作(逆にいえば名作という名のメジャーどころしかないのだが)が取り揃えており、一般教養として知識を身につけることができたのだ。あそこで見た戦メリ、麻雀放浪記とか覚えているなあ。

 そのブース内で出会ったのが『シコふんじゃった』という映画である。周防正行監督で1992年の作品だ。さて、さっそく噓をついたのだが、この映画は幼少期に父の影響で知った。父がこよなく愛している作品で、いまでも話題に出るほどである。

 これはマジのマジでオススメの映画だ。弱小相撲部の再起をかけた物語なのだが、コメディー史上最も質が高いといっても過言ではないかもしれない。幼少期で知ったあの作品。大学生になって再び目にした。周防正行、竹中直人。ああ、そうかと。私はこのふたりが好きだったんだ。私が後世に影響を与えたふたりであった。

 幼少期に知ったのは幸運としか言いようがない。私も子どもができたら教える予定である。一緒に大笑いするつもりだ。

 それからコメディー映画を好むようになった。その主題歌もやはり脳裏に残っている。それもそのはずである。名曲だったのだ。

 おおたか静流は1990年代に活躍したアーティストである。この曲でしか知らなかったが、声質が非常にいい。相撲という日本の文化にあったテイストで和を連想させる歌声。当初はなんじゃこりゃと思ったが、よくよく聞いてみるとしっくりくる。

{林檎の木の下で 明日また逢いましょう 黄昏 赤い夕陽 西に沈む頃に たのしく頬寄せて 恋を囁きましょう 真紅に燃える想い 林檎の実のように}

 元々はアメリカの曲である。最初に日本で歌われたのはなんと1937年。ディック・ミネという方がウクレレとスティールギターを用いて歌っている。これはこれで味があっていい。なんとなく古風な匂いが漂っていてはいたが、まさかここまで古いとは。貴重な動画が見つかりごっつあんです。

 この曲もいいが、どちらかというと映画をオススメしたい。こうしてみると、私は昔から笑いが好きだったんだなあと。昨日に続いて幼少期のころを思い出した。

       【今日の名歌詞】

林檎の木の下で 明日また逢いましょう



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