名曲351 「翼をください」【赤い鳥】

ーー誰しもが一度は歌ったことのある音楽の教科書ーー

【翼をください/山本潤子】

 音楽の教科書を振り返ってみると、意外と楽しめることに気づく。あんな曲もあったなあ。これはもう覚えていないなあ。どんなメロディーだったっけ。えっあの曲って教科書に選定されていたんだ。そうしていつの間にかあの日の音楽室に戻ることができる。

 私は元々音楽が好きだったから苦ではなかったが、同い年の男子たちはどこか退屈そうだった人が多かった。かく言う私もその圧に屈して楽しそうな雰囲気は出せないでいた。当時は素直じゃなかったなあ。

 ある教科書の1ページ目を見ると、この曲が掲載されていた。小学生、中学生のころによく歌ったのを未だに覚えている。合唱でそれはそれは歌った。不思議とみんな、この曲を歌うときは退屈そうではなかった気もする。

 「翼をください」は赤い鳥の曲である。1971年に発売された。しかしB面であった。あの伝説の「竹田の子守歌」がA面だ。恐らくこの曲も後ほど取り上げる。赤い鳥といえば山本潤子。山本潤子といえばハイファイセット。連想ゲーム。紙ふうせんはもう少ししたら取り上げるのですみません。

 山本潤子のすごいところはこれだけ大御所にもかかわらず変に崩して歌ったり手を抜いたりしないことである。上記の動画は必聴だ。皆さんの知っている聞き慣れた「翼をください」がそこにある。その誰もが安心できる極上の素材をそのまま最大限に引き出している。山本潤子の美声がよくわかるだろう。

{この大空に翼を広げ 飛んで行きたいよ 悲しみのない自由な空へ 翼はためかせ 行きたい}

 どこか寂しくもある歌詞だが前向きだ。悲しい歌詞を明るく歌うのは私の大好物。もしかすると幼い頃に聞いたこの曲がきっかけだったかも。

 余談だが、私はこの曲は国が作ったのだと小さいころ思っていた。国語、算数、理科社会。全部が与えられたものを素直に吸収していったわけだが、きっとこの曲も教育のための曲なのだろうと。

 教科書に選定されるというのは大きな名誉である。いわば国が認めた名曲といっていいわけで、それも1976年からずっといままで受け継がれているというのはもう、歴史に残る存在といっていい。この曲はいつか取り上げたかったのだが、音楽の教科書を見返してふと思い出した。後ろを向いてみたい時期なのかもしれない。

       【今日の名歌詞】

この大空に翼を広げ 飛んで行きたいよ 悲しみのない自由な空へ 翼はためかせ 行きたい


 



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