名曲265　「おんぶおばけの歌」【前川陽子】［おんぶおばけ］

ーー70年代前半では珍しいアップテンポのラ、ラ、ラーー

【おんぶおばけ】

　1970年代のアニメは現代まで受け継がれるような名作と同時に、短期で終わってしまったものも多い。60年代だとそれぞれの作品に一定の価値があるように思うのだが、どうもアニメ文化が落ち着いてきたからか過小評価気味のものも多く感じる。

　今回取り上げる「おんぶおばけ」は短命に終わったアニメである。1972年から73年まで放送された。雰囲気は日本昔ばなしのようなテイスト。それでいて主人公のおんぶおばけを中心に温かみのある話にまとまっている。私も検索してみた。正直そこまでひどくないし普通に見られる内容なのだが、意外と人気がなかったようだ。同時期に放送されていたアニメが強力だったのもあるだろうか。

　適当に動画を探してみたが全編普通に見ることができる。それにしてもこのおんぶ、見た目はかなり某家族のカツオっぽい。だが声は女の子。見た目も全裸だし生々しい。いまだと何らかの修正があるかもしれない。

　さて、この曲の主題歌について取り上げたわけだが、妙にノリがいい。70年代前半の当時はオープニングであってもしっとりしていかにも古臭さのある曲調が多いのだが、これは違うなと感じた。ちなみに古臭いアニソンは総じて短命という印象がある。名作アニメこそ名曲がやってくるわけだ。偶然ではないと思う。マジンガーZ、ガッチャマン、ど根性ガエル……。

　歌うは前川陽子。アニソン界の女王だ。「キューティーハニー」や「リボンの騎士」が有名。アニソン歌手の女性部門では堀江美都子、大杉久美子に次いで大物なので要暗記である。実はこの曲を歌っていることは最近まで知らなかった。さすがは前川陽子といった感じで、アップテンポな曲調にのせて声が弾んでいる。

　個人的には良曲を越えて名曲入りにしてもいいかと感じた。これがまた微妙なところで、70年代後半だったらギリギリダメだったかなと思うのである。当時はけっこう斬新だったのではないかというのと、短命に終わったアニメという点もポイントになった。知らない人も多いのではということで、ケケケ。

　　　　　　　【今日の名歌詞】

おんぶ　おんぶ　おんぶ　ラララ