名曲149 「君を忘れない」【松山千春】
ーー中毒性の高いバラードという唯一無二の名曲ーー
【君を忘れない】
松山千春はなかなか取り上げられずにいたが日本を代表するレベルの歌手といえる。ただ、私にとって刺さる曲がなかなか見つからなかった。私の友人が溺愛(同じ20代後半なのだが渋い)しているので何か見つけようと思っていた。
大概、自分から「名曲を見つけよう」という姿勢では見つけられない。それが名曲だ。肩の力が入ると好曲と思うことはあってもこれまでの数多くの名曲と比較してしまうのである。
そうして松山千春は私の中から消えていった。特徴的なスキンヘッドとサングラスとたまねぎのイメージが残ったまま、自分にとって刺さる曲はないものだと失意になりながら。
ところがである。最近になって名曲と思う曲が見つかった。いや、再発見した。それが「君を忘れない」である。この曲は90年代に発表された曲なのだが大ヒットまではいかない曲だった。当時、いい曲と思ったのにほかの名曲を見つけてしまったがためにストックできなかったのである。いやはや悲しかった。それで偶然にも再会できたのだが、これは産物としかいえなかった。
肩の力を入れず、フラットな状態で出会えたこの曲はすさまじい破壊力があった。心が洗われるようなきれいなサウンド、メロディー。そして極めつけは松山千春の味のある声である。
[「どうして生きてるの?」君は僕に尋ねたけど 答えを急ぐことはない やがてわかるから]
このサビがたまらない。バラード系の中でも最上級に位置するレベル。どうして生きているのというフレーズは心苦しいものがある。問いかけに僕は黙ったのだろうか。その「答えを急ぐことはない、やがてわかるから」という答えを、そのまま伝えていなかったのではないかと思う。背中で語りかけていたのではないか。そんな渋い光景を思い浮かべてしまうのは松山千春の力あってこそではないか。
{君から教えられた 自分自身 愛するように 生きたい 人を愛したい 生命ある限り}
人生の教訓といっていいだろう。人間のあるべき姿ではないだろうか。
それにしてもサビのじっくりとした感じ、妙に中毒性が高い。どぉしてっいぃきていぃるの。いい。最近は「どうして」という言葉を言うと「生きているの」という言葉が浮かんでしまい、困っているのが難点。中毒もよしあし。
【今日の名歌詞】
君から教えられた 自分自身 愛するように 生きたい 人を愛したい 生命ある限り