名曲524 「Can't Take My Eyes Off You」【Boys Town Gang】
ーー君の瞳に恋してる。美しい言葉にふさわしいメロディーーー
【君の瞳に恋してる / ボーイズ・タウン・ギャング】
中学3年生のことだった。卒業を控えた我々3年生による、室内部活動発表会という催しがあった。場所は体育館。おぼろげながら覚えている。保護者、先生たちが後ろにいて、中央に在校生たちが体育座りで出し物を見守る。私は運動部に所属していたので、観客の一員としていた。きっとダルそうにしていただろう。
トリは吹奏楽部だった。
2~3曲ほど演奏をしたと思う。その最後の曲だっただろうか、流れたのは「君の瞳に恋してる」だった。元々私は洋楽の原曲を知っていたが、そこまで好きではなかった。期待はしていなかった。
そこで耳にした同級生たちの渾身の演奏に、私は心が揺さぶられた。普段は決して仲良くなかった吹奏楽部たちの顔つきが、真剣だった。いつもと違う雰囲気が痛かった。特別な存在に思えてきた。
中学生の演奏だなんて、所詮は中学生である。だのに。
きーみーのひとみーにこいをしてーるー
私は心の中で心地よく歌っていた。サビにのせて。なんていい曲なのだろうと。なんていい演奏なのだろうと。
いまでもその音色は心に残っている。
この動画が近い。だがテクニックは確実に動画のほうが上だ。当時の皆の演奏はもう少しテンポがゆっくりだった。恐らく当時の演奏は、プロから見たら下手くそといわれるのかもしれない。
それでも、私がいままで聞いた中で最もよかったのが同級生たちの演奏であった。大人になったいまだと、きっと涙を流していることだろう。
珍しく母親に思いを伝えた。今日の演奏、いままでの吹奏楽でいちばんよかったと。
それからこの曲は思い出の曲になり、原曲もずっと好きになった。あのときの演奏によって、私は「音楽にうまい下手もない」と思った。気持ちが入っているかどうかである。それがすべて。未だあれを超える演奏に巡り会えたことがないんだよなあ。
さて長々と思い出を書いてしまった。曲については説明不要の有名なものなので、特筆すべきことはない。
【今日の名歌詞】
Pardon the way that I stare There's nothing else to compare