名曲266 「もっと強く抱きしめたなら」【WANDS】
ーーWANDSは永遠にーー
【もっと強く抱きしめたなら】WANDS 【motto tsuyoku dakisimetanara】
90年代のミリオンヒット曲を聴くことを趣味としていた高校時代。過去に流行していた曲を知ることで世界が広がった。WANDSはそれこそその時期に出会って衝撃を受けたグループである。90年代はすごいと思ったものだ。広瀬香美、TRF、WANDS……色とりどりのアーティストがいた。人間ならば自分にとって必ず好きなジャンルを見つけられたのではないか。今回はビーイングを。
名曲が多いので悩んだが、WANDSの中でも当時衝撃を受けた曲を紹介。一二を争うほど有名であろう「もっと強く抱きしめたなら」だ。作曲は多々納好夫。この曲で初めて知った。
{少しだけ冷たい風が吹く 夕暮れの帰り道 肩寄せて歩いた 会話さえ とぎれたままだったね 高なる胸とただ こみあげてく思い 押さえて}
前奏からもう違う。ギュインと鳴るギターで心が一気にハイになるのだ。作詞は魚住勉。この方はあの浅野温子の夫で、ボーカルの上杉と共同で詞を作っていったそうだ。
{もっと強く君を抱きしめたなら もう他に 探すものはない 季節はまた巡りゆくけれど 変わらない 二人だけは}
サビの歌いっぷりが気持ちのいいこと。さわやかで声にも張りがある。
{この街に 降りだした雨さえ 君を想う時 やわらかな優しさになる}
くーっ気持ちいい。カラオケで歌ってみて、ますます好きになったのを覚えている。非常に歌いやすい。
WANDSは私の知っている(PVで演奏していたときのころ)時代といまとでメンバーが異なっている。1996年ごろに上杉昇と柴崎浩が脱退。その後2019年に新ボーカル上原大史(この方もなかなかよし)が加入したりといろいろと編成が変わり、正直ややこしくもある。それで触れづらくなったというわけではないだろうが、メディアへの露出は控えめな印象だ。
{さみしげな眼をしてた君だから きっとわかるね かけがえのない物 このままで時が止まればいいと 君は言うけど 何一つ怖れることはない}
そんな最中で2番の歌詞がしみる。90年代前半、つまりこの曲が大ヒットした1992年ごろは全盛のときであった。あのときのまま時が止まればとは……。当時に隆盛を極めたアーティストはその後の低迷ぶりに耐え切れなかったり、脱退によって解散したグループだってある。その中でWANDSはメンバーを変えながらもずっと活動しているのだ。
続けるのはえらいこと。ファンのためにWANDSは永遠に歌い続ける。私はそっとエールを贈りたい。
【今日の名歌詞】
この街に 懐かしい風が吹く そしてもう一度 歩きたい 同じ時を