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名曲181 「So Sorry」【大塚純子】
ーー甘酸っぱい青春の1ページに胸が締め付けられるーー
【大塚純子/So Sorry】
大塚純子は1990年代前半に活動したミュージシャンだ。あまり有名ではない……いやほとんど有名ではないといっても否定できる人はいないのではないか。
今回はその大塚純子のデビュー曲を紹介。
{School Days 隠したナイフで なぐるように机に刻んだ言葉が 懐かしいよ 今になれば ただの想い出さ}
非常にきれいだ。想い出自体はきれいではないかもしれないが、歌詞はまさしく青春の1ページを切り取ったものであり、時間の経過もうかがわせる。
{いつだって 大嫌いだった いやな先生にあだ名をつけて 呼び捨てていたよね 精一杯の うさ晴らしだった}
いわゆる不良少女。いや少女とは限らないが大塚純子の透き通った声がどうしても背伸びした少女を思わせるのである。
{他人(ひと)とは違う自分を ずっと信じたいと いやになるくらい とがっていたよ いつも}
きっと思い当たる人も多いかもしれない。90年に作られた曲とはいえ現代にも通じる。
{あの頃はごめんね 生意気でごめんね I’m So Sorry ウソつきでごめんね ふざけててごめんね 意地をはってて言えなかった言葉さ ホントは 素直に叫びたかった}
サビの締めを{叫びたかった}で終えているのがポイント高い。すごく気持ちがいい。歌詞の甘酸っぱさ、つまりいまになってみて恥ずかしさすらあるどうしようもない感情を最後にぶつけたのだ。そして間奏に移るわけだがその間奏もいいメロディーなのである。
{School Days 卒業したら 誰も叱ってくれない事に気づいた あんなにおいしかった サボって飲んだコーラ 忘れたくない}
{規則(ルール)は破る為にある それが合い言葉 どんな事でも一緒なら出来る気でいたよ}
秀逸。全体的に非常に秀逸だ。いかにも怖いもの知らずの学生といった感じで、小説のようでもある。この曲が出るもう少し前は金八先生などの影響でツッパリや不良少女が流行した。その頃を思い起こせる意味で、当時はこの曲に共感した人も多かっただろう。
売れていれば。
なぜこれほど名曲であるにもかかわらず、ミリオンヒットできなかったのか。これが売れていれば大塚純子もいまより知名度高くなっていただろう。悲しくて仕方がない。
{放課後だけのヒーローだった きっと今でも素直に叫べない}
先生に悪態ついていた自分はヒーローではなかったと認めた。学校が終わってからツッパリまくっている姿が想像できるが、いまはいまで、形を変えてヒーローになっている子も多い。後々、甘酸っぱい想い出に変わると思うと楽しみ(?)。
【今日の名歌詞】
放課後だけのヒーローだった きっと今でも素直に叫べない