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名曲40 「東京タワー」【天野月】
ーー最強の前奏パートと天や月に並ぶ表現力、そして至高の歌声ーー
古くからある建造物には何らかの名曲がある。東京タワーは妙に人気で、検索したらこの曲以外にも数多く出てきた。
その中で屈指の名曲といえるのがこの天野月が歌う東京タワーだ。まず前奏がいい。煌びやかなアルペジオのような音色はなんだか永遠に聴いていたくなるほど幻想的である。楽器に知識があればいいんだけど何の音かがわからないのは情けない限り、私。
続いて歌詞がまたいい。
{僕を一番だと言ってた 春が勇み足で過ぎてゆく 君は目移りをしたんだね 刺激的なあいつに}
愛憎劇が繰り広げられそうな感じではないか。歌い手が天野月なのも何だかリアリティを増していないだろうか。失礼かもしれないが。
{もっと辱めるようにさ 罠を仕掛ければ良かったかな 物見櫓で見てしまった 恋が動く瞬間}
どことなくヒステリーさも醸し出している。演出だとすれば神である。
{どうして 僕の目の届くあいつを選んだの 知らないふりして君を待てばいいの 答えて 君が欲しがった永遠は嘘なの 僕の予定は白紙のまま 東京メランコリー}
迫真の文字群である。そして天野月の歌い方も素晴らしく、ハートにガツンとくる。どうして、から立て続けに彼女が襲ってくるのだがそれがまた心地よく、サビ後のまた幻想的な前奏部分が流れて心も調和されていくのだ。いわば絶妙なバランスというやつである。
妙なのはアウトロの長さである。これは何を意味するのだろう。考察していくとネガティブな光景が浮かんだ。まさかとは思うが、自殺ではないだろうか。そういったものも含めて味がある。これは天野月の残してくれた巧妙な遊び心ではないだろうか。
天野月は天野月子とも名義としてあるのか、検索すると二つ出てくるのである。「子」が付いたことで女性シンガーであることもすぐにわかる。あまり表に出ていない歌手だが、歌唱力の高さと歌詞の表現力はハイレベル。月並みな表現だが、もっと評価されるべき存在である。
【今日の名歌詞】
君が笑うたび膨らんだ蕾を ひとり僕は数え続ける