名曲229 「サヨナラ」【GAO】
ーーミステリアスなハスキーボイス。一生記憶に残る存在ーー
【GAO - サヨナラ[OFFICIAL MUSIC VIDEO]】
GAOは妙な存在感を放っている。まず声がハスキー。かなり独特だ。
次いで性別である。当時は性別を公表せずに売り出したらしく、ファンもどちらかわからないまま応援していたそうだ。で、女性だと発表されると男性だと思っていた女性ファンは悲しみに暮れたとか。
そして世間一般でいわれる「一発屋」の肩書である。正直私もこの曲しか知らず、どこまで活動していたかも知らなかった。この記事を書くにあたっていろいろ調べてみたわけである。するとやはり活動期間は短くCDもあまり出していないことがわかった。
それでも私が書こうと思ったのはこの曲が頭から離れず残り続けていたからである。世の中に何万曲もある中で1曲でも一人の人間の脳内に残り続けていたならそれは名誉なことではないだろうか、となぜか私が偉そうに語ってみる。
{流れる季節に 君だけが足りない はぐれた心の 足跡を探す カバンにつめた 悲しい幸せ 遠くへ行くほど 君を思い出す}
雰囲気は失恋後、一歩一歩かみしめて歩いている感じである。
{星だけが時を数えて 戻れない夜を飛び越え 逢いたい}
{手のひらから伝わる愛 心をとかした 名前のない時間の中で 二人夢を抱きしめてた 何も失くさないと 信じていた あの頃に}
めちゃくちゃ頭に残るサビである。それはGAO自身の持つ声の強さにもあるだろう。これが別人だとそう記憶に残らない。
{(かえりたい) くちびるからこぼれる愛 心を満たした (かえりたい) 名前のない時間の中で 二人夢を抱きしめてた 何も変わらないと 誓った日々が 胸の奥に 今も はなれない 輝いて}
最後のアウトロも含めて意味深な終わり方である。相手を想う気持ちが忘れられないのか、忘れようと葛藤しているのか。それもわからず「ラララ」と歌い続けるのである。
90年代のミリオンヒット(自慢だがサビは恐らく全体の90%歌える。えっへん)のなかでもこの曲は異質な存在感を放っている。この「異質」というのを、万人受けせずともきっと誰かの心の支えになるという意味で評価したい。私のように脳内に焼きついている人も多いだろう。こういう曲を世間からサヨナラさせるには惜しい。
【今日の名歌詞】
カバンにつめた 悲しい幸せ