名曲387 「Telephone Number」【大橋純子】
ーー連絡を待ち焦がれるヒトの気持ちを簡潔に表すファルセットーー
【Junko Ohashi (大橋純子) - Telephone Number】
力強い歌声を持つ女性アーティストといえば、やはり大橋純子だ。ただ力強いだけでなく伸びやかなビブラートに隠れる綺麗さも魅力である。これぞまさしく歌手といった感がある。
前回の「A love affair」以来の紹介になる。こちらもかなりの高評価なのでぜひともオススメしたい。例によってシティポップから知った曲なのだが、なかなかどうして当時に大ブレイクしなかったのか。いま、上記の動画のコメント欄を見てみると、なんと3000件以上のコメント数があった。しかもざっくりスクロールしてわかるとおり、海外の方のコメント数がずらりと並んでいる。
つまり、大橋純子はいまや世界のジュンコになったのだ。コシノジュンコに匹敵するジュンコ界のレジェンドである。
ところでこの曲は1980年代に発表された。当時の電話業界というといまでいう不格好で巨大なものが主流だった。スマホに慣れ親しんでいる私にとって、これはつい40年くらい前のことだと知るとなかなかに驚く。いくら昭和が好きな私でも、これはどうも持ちたくない。上記の動画の中にテレフォンカードをシュッと収納している映像があるが、ああ、時代だなあと。いまやテレカなんて古物商のゲフンゲフン。いやバカにできない。親友テレカが魅力のドラえもんズもバカにしてしまう。
当時の電話はいまよりも重要な役割があっただろう。相手の声を遠距離から聞く事ができる。それだけでどれほどありがたかったか。メールやlineでは伝わらない声によるニュアンス、息づかいなど情報を多く知ることができた。
そして皆、テレフォンナンバーを知りたがるのである。ささっとメモ用紙に記載された数字の羅列。その紙切れを大事にして。そしてかかってこないかと待ち遠しい気持ち。
この曲はそういった慕情を演出できているのがいい。度々出てくる「aawoo」というファルセットが、連絡がほしくて仕方がない様子に思えてこないだろうか。昭和末期らしい時代背景をも楽しめる名曲である。
【今日の名歌詞】
忘れないで私のテレフォンナンバー 困ったときダイヤルしてほしいいつでも