名曲246 「夏の魔法」【Enjoy Music Club】
ーーゆる~いラップが心地よいーー
【ENJOY MUSIC CLUB「夏の魔法」】
けっこう衝撃的なサムネだが本曲のMVである。どういう狙いかはわからないがゲイカップルのようだ。個人的にはそこまで愛を強調しなくとも、なんとなく佇んでノスタルジーな景色さえ映しておけば万人受けしたのではないかと思ったりもしたという……長くなりそうなのでカット。
Enjoy Music Clubはまるでキングオブコメディみたいな感じの名前だが、その名の通り自然体に楽しんでいる様子がうかがえる。ヒップホップながらきつめの表現をせず、ゆるく淡々と言葉を紡いでいくさまがいい。
「夏の魔法」は代表曲と呼ばれる存在のようだ。私はこの曲から知ったのできっとそういうポジションでも差し支えないのではと思う。今の時期にぴったりと合っている。
ラップ、ヒップホップというとどうしてもYOYO系のオラオラ系がちらつく人も多いと思うが、この曲はそういう感じではない。甘酸っぱい思い出をラップ調に断片的に表していく。
{足出しちゃってコンバース ハイカットが似合うねサマーガール タイカレー食って汗かいて 恥ずかしーがってたあの日}
個人的に好きなポイントだ。妙にワードセンスがよい。韻の踏み方とリアルと無理のなさが絶妙だ。
{君とふたり パラソルの下 甘い夢を見た Ifとifばっかの夏だった 暑さが通り過ぎてゆく Summer Magic}
サビは思わず体を揺らしたくなる。非常に心地よい。夏の通り過ぎてゆくようなふっとした風に揺られ、風鈴が鳴る。そんな情景を思い浮かべる。
{Summer Magic まだ間に合うなら Summer Magic お願いもう1度だけ}
最後にそっと願うのもいい。きっと普段はそんな態度を見せていないのだろう。だがあの夏の出来事はどうも魔法のような気がする。幻想的なひと時を君の影に重ねて。
ゆるい雰囲気のラップは私は大好きだ。それも相手を攻撃したりディスったりしないものがいい。いまのラップは昔でいうフォークみたいな扱いになってしまっているが、決して思想を垂れ流すだけの道具にしてはいけない。日本語の妙、味わい深さを嚙みしめていきたい。
【今日の名歌詞】
足出しちゃってコンバース ハイカットが似合うねサマーガール タイカレー食って汗かいて 恥ずかしーがってたあの日