名曲533 「SEVEN YEARS AFTER」【プリンセス プリンセス】
ーー絶妙な時間を嚙みしめるーー
【プリンセス プリンセス 『SEVEN YEARS AFTER』】
7年とは絶妙な期間だと思う。7年前を思い浮かべてみてほしい。各々、ずいぶんと変わったのではないか。私はどちらかというと充実していた期間だったかもしれない。いまより。何もかもが懐かしく思え、嫌だった出来事もちょうど洗い流されていき、まっさらな目で見つめ返すことができる。きっといまの苦しみも、7年後には笑っていられるのだろう。
プリンセス プリンセスは2曲目になる。「M」を取り上げたが、そちらはかなり有名なのでもはやここで取り上げるほどでもなかったと思う。今回はファンにとってはおなじみでも、一般的には知名度の低い「SEVEN YEARS AFTER」を取り上げる。というのも、売上がイマイチなのだ。90年代前半あるあるだが、いい曲が正当に評価されておらず売上や知名度と比例していない。
{駆け登る坂道 息をきらしてる この角を曲がればあの部屋が見える 隣のペンキの落書きまですべてが昔どおり}
{悲しい思い出が止まらない夜は 出逢ったことさえうらんでみたりした 心がだんだんスピード上げて 眩しく開いた}
{時間の風が恋のキズを白く染めて 甘く優しく帰る あの時ひとり空へ投げた銀のリング 今星になって消えた}
歌詞からは失恋から時の流れを経て癒えていくさまがわかる。それは苦い。苦い思い出ながらこみ上げるものも。それをうまくメロディーで表現しているのが本曲だ。序盤は平静を装うかのようにしっとりと続くメロディーなのだが、次第にヒートアップしていき、サビで爆発する。あーーーと叫びたくなるような。
7年という月日がまさしく絶妙である。どこを切り取っても、ひと回り成長した姿で振り返ることができる。そうして前を向くことも、ぼんやりと浮かび上がっていることだろう。10年では遠すぎるし、5年では近い。
隠れた名曲なのでぜひとも勧めたい作品である。もうね、ダイアモンドとMはすっかり浸透したでしょうし、ザクザク発掘していきましょう。
私は7年後が不安で仕方がない。30代に突入しているという現実を受け入れられないのだ。ああ、まだドラえもんを見ているのだろうか。クレヨンしんちゃんで笑っているのだろうか。永遠に子どものままでいるような気がしてならない。
【今日の名歌詞】
あの時ひとり空へ投げた銀のリング 今星になって消えた