名曲112 「美しき花」【福山雅治】
ーー春が始まった。桜が舞い、花が映える。目の前の美しき花に向けたエールソングーー
【美しき花】
一般的に福山雅治といえば役者のイメージが強いはず。キムタクと並んでイケメンランキングの常連といった感がある。その福山雅治はかつて「桜坂」「HELLO」などの大ヒット曲も残しているのだが最近の学生は知らないようだ。とはいえ最近でも「虹 ~もうひとつの夏~」とか「家族になろうよ」などのヒット曲も出しており、私としてはややアーティストのほうが印象強い。
今回はマイナーな名曲を。美しき花は2006年に発売された。私も当時この曲にほれ込んでCDを買ったものである。
{愛しながら 愛されながら 美しき花になれ 春よ春よ 春が来た まっすぐに咲き誇れ 君よ}
しっとりと落ち着いた曲調で目の前の若者に向けて語りかける。そんなイメージがわく。
{冬来たりなば春遠からじ 来来世世 生命は宿るよ すべて移りゆくこの街で 求め信じられる道を ~見つけたなら}
冬来たりなば春遠からじ。日本語の美しさを痛感する私の好きなフレーズだ。
{頑張りながら つまずきながら たくましき花になれ 夢よ夢よ夢を見て 思いっきり「いま」を謳え君よ}
当時、なぜ私がほれ込んだのか。それは新生活が始まったからもあるかもしれない。頑張りながらつまずきながらたくましい花になる……想像するに、美しき花とは新生活に頑張って立ち向かおうとするあなたのことではないだろうか。
{歓びながら 哀しみながら 香しき花になれ 山を越え谷を越えて しなやかに風と躍れ 君よ}
それにしても前回の阿木燿子を彷彿とさせるかのような日本語使い。これは福山雅治自身が書いている。意外といっては失礼だが、下ネタバリバリのコミカルイケメンと同一人物とは思い難いほどだ。
{誰かが ~どこかで 待ってる ~どこかで きっと君を ~いつかは 呼んでる ~逢えるよ}
新生活来たりなば、別れ遠からじ。ラストはこのフレーズを歌い続けてフェードアウトしていく。それまでの環境を離れてしまっても、振り返れば支えてくれる人がいるとエールを送っているのだ。美しき花になれ。そうやってたくさん環境を変えてたくましく。思わず胸がキュッとなるが、そういうときこそ落ち着いた福山雅治の声がとても沁みるのである。
【今日の名歌詞】
愛しながら 愛されながら 美しき花になれ 春よ春よ 春が来た まっすぐに咲き誇れ 君よ