名曲283 「夏の日の1993」【class】
ーー一発屋なのにこの風格はなんだろう。一発が大きすぎるからだーー
【夏の日の1993】
今回は私にとって珍しいタイプの曲である。なぜかというと、元々嫌いな曲だったからだ。それが年を取るにつれて徐々に好きになっていったのである。人間はファーストインプレッションで事象をすべて知った気になるが、評価を変えるには何か劇的な変化が必要だ。この曲は何かきっかけなどなく、自然と流れゆく波のように評価を変えていったのだった。
まずはなぜ嫌いだったかを挙げる。それはサビの言い回しがダサいと感じたからだ。1993をメロディーに合わせるために無理矢理「ナインティナインスリー」と表現していたことにむず痒く思い、それも堂々とした歌いっぷりから気持ち悪くすら感じたのであった。当時は確か中学生だったか。
いまでもそういう曲は多く、そういう無理矢理歌詞系はよっぽどのメロディーでないと評価しない。この曲を評価しなかったのはそういう理由もある。
ところが、聞いていくうちに「聴けるなあ」と思うようになってきたのである。いまではあのダサいと感じていた「ナインティナインスリー」が心地よくすら感じる。つまりスルメ曲だったわけだ。
{1993 恋をした Oh 君に夢中 普通の女と思っていたけど Love 人違い oh そうじゃないよ いきなり恋してしまったよ 夏の日の君に}
絶妙なかっこよさに思えてくる。80年代のクールとはまた別のクールである。どちらかというと、この曲の男性像のほうがいまでも通用しそう。秀逸なのは朝でも夜でもしっくりくる情景になるということ。花火を見ながら聞くのもけっこうオツである。
{1993 ジェラシーさ oh 君に夢中 僕には合わない人だと思った Love 今日からは oh とんでもない 不思議な気分に戸惑うよ 夏の日の君に}
気づけばメロディーがどんどん好きになってくる。そしてサビ前になるとワクワクするのだ。あれほど駄作もといダサく感じていた「ナインティナインスリー」が欲しくなってくるのだ。
classはこの曲以外を知らない人も多いだろう。かくいう私もそうだ。でもこの曲を流せば多くの人が「class」とわかる。いまでもカラオケの十八番にしている人は多そうだ。そろそろ夏も終わりが近い。
【今日の名歌詞】
いきなり恋してしまったよ 夏の日の君に