名曲361 「わんさかワンサくん」【シンガーズ・スリー、ロイヤルナイツ】[ワンサくん]
ーーほのぼのとした時代を感じる虫プロアニメ最終作ーー
【ワンサくん OP】
手塚治虫といえば、虫プロダクションは切っても切れない関係だ。そういえば最近もニュースがあったが、お金絡みで大変苦労したそうなのである。当時のアニメ業界はいまの華々しい(いまこそ地獄という意見もあるけど)世界とは違ってドロドロ、キツキツしたものだったそうだ。
今回はその虫プロが手掛けた最後のアニメ作品、「ワンサくん」を紹介。当時は1973年。70年代前半はいかにも昭和の香りがするので個人的に大好きである。中でも本作は香ばしい。歌詞が凄まじいのだ。
{まっくろけの まっかっかの まっしろけのけ「ワンサ!」 チンヂレゲのフッサフサのツンツルテンのテン「ワンサ!」}
ふむふむ。ここだけ見れば全然いけそうだが、
{ヒョンヒョロリンの デッカデカの チンビチビのビ「ワンサ!」 ブッチブチの シンマシマの ペッタラコンのペ「ワンサ!」}
2番から表現に少し問題が出てくる。というより下品なのだ。同じオノマトペでも宮城まり子の「ウバ・ウバ・ウキャキャ」とは質が違う。だがここはむしろまだいい。
{「パンツもはかずに失礼してます」}
{「電柱見つけりゃ小便かけます」}
{「にゃんこを追っかけ運動中です」}
この合いの手がタチ悪い。いい意味で。とはいえいまじゃアウトだろう。動物愛護団体、BPOが問題視することは確実だ。最後の3番が特にヤバそう。ただの下品で収めておけばよかったのにネタがなかったか。
というわけでヤバい歌詞ではあるのだが、曲調はミュージカル風で悪い気はしない。私の中ではギリギリで名曲入りかなというくらいのレベルではあるが、希少価値の高い歌詞と時代背景でポイントを稼いだ感じだ。
ちなみに歌っているのはアニメのキャラクターたちが歌っているようである。主人公のワンサくんは小原乃梨子が担当している。これはすぐわかった人も多いと思うが、旧ドラえもんののび太の声の人だ。私は歌声で調べずとも一発でわかった。あの人の声は甲高くて特徴があり過ぎるのである。キーンとした感じね。
ふと思ったのだが、犬や猫が主人公のアニメって増えているのだろうか。それこそ扱いにくいテーマなのではないかと懸念がある。ちょっとでも動物を存外に扱おうものならアウト、人間側が困るようなパニックギャグアニメ系でも、侮辱だなんだのいろいろ言われそうだ。うーん、堅苦しい。ファッションや音楽のように、一周回ってそれが許される時代がこないだろうか。
【今日の名歌詞】
「にゃんこを追っかけ運動中です」