名曲671 「ドラえもんのうた」【東京プリン】[ドラえもん]

ーー旧ドラ末期の忘れてほしくないノリノリバージョンーー

【ドラえもんのうた 東京プリン】

 以前にも「ドラえもんのうた」は書いたことがあった(吉川ひなの版)。私の中ではルール違反気味なのだがどうしても取り上げたいバージョンがあるのである。覚えている方はいるだろうか。

 当時の映像がなかったので上記の小さい動画で御勘弁。こちらは2002年10月から2003年4月までの約半年間で放送された。いわゆる東京プリンバージョンである。

 従来までの「ドラえもんのうた」とは一線を画す。テンポを上げてノリノリなのだ。その結果キャラクターたちも踊って楽しそう。個人的にはですねえ、15秒くらいのしずかちゃんがどストライク。子どものころは気づかなかったが社会人になってとんでもなくかわいかったことに気づいたのだった。

 さて、このバージョンも前に書いた吉川ひなのバージョン同様、賛否両論の扱いを受けている。それも無理はなく、大杉久美子、山野さと子で慣れ親しんだあのメロディーが大きく変わってしまったからだ。それで歌っているのが東京プリンという聞いたこともないイロモノだったのも弱かった。一説には事務所のゴリ押しなんてのも見たが、よくわからない。

 私個人としては正直に書いてしまおう、このバージョンが最高傑作である。よくぞアレンジしたという気持ちであった。当時の子どもだった私の意見としては、オープニングがややマンネリだったのである。ずーっと何年も山野さと子を聴いてきた。だから主題歌をいろいろな人に歌わせたのは、恐らく同じ思いがあったのではないかと。その中でもこれは刺さりに刺さった。突如変わったオープニングに驚きを隠せなかったが、すぐに好きになったのだった。

 この2000年代前半はいわゆる「旧ドラ末期」といわれる時期で、迷走期といわれている。アニメ本編が全体的にギャグ路線になったのだ。作画崩壊もよくあった。映画の質も落ちたといわれた。よって一部のファンはこの時期を、主題歌の歌手をコロコロ変えたのも含めて暗黒期と呼ぶ。

 実際、声優が変わると発表されたときに私も「ついに限界なんだな」と思ったのは確かだった。終わるとさえ思っていた。

 リニューアルを迎えて当時の私は非常に落胆した。それは何年も続いた。水田わさび版を再評価したのはもっと大きくなってからである。それほど大山のぶ代が恋しかった。涙を流した子どもは多かったはずだ。リニューアルされたばかりのころは、その暗黒期ですら復活待望論が多かったことを覚えている。

 旧ドラ末期を暗黒期と簡単に言えるのは40代以上だろう。いまの20代にうかがってみたいのだが、あの時期は楽しかったですよね。私は「おかえしじしゃく」が好み(ちょいずれだけど)。あの時代はドラえもんをもっとよくしようという工夫があった。パッションがあった。それを当時の子どもたちは真正面から向き合えることができたのだ。この曲を黒歴史と書く者は浅い。あー浅い浅い。鼻でスパゲッティの刑だ。

       【今日の名歌詞】

アンアンアン とってもだいすき ドラえもん



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