名曲881 「スーパートレインしんかんせん」【三浦秀美】
ーー夢と希望に満ちあふれた新幹線の時代ーー
【スーパートレインしんかんせん】
いまも昔も私は新幹線が大好きである。やはり三つ子の魂百までというのは本当で、大人になっても新幹線に乗るとワクワクしてしまう。悲しむべきは楽しむ余裕がなくなってきたこと。それに乗るということは出張と同義であり、遠征先の予定や仕事関係のことを考えてしまい、ゆっくり景色を見たりお弁当を食べることもない。
それでも私は抗う。この曲を聴いて。私が小さい頃に特急の歌のビデオを買ってもらったのだが、非常に気に入っていた。恐らく、いま見ると多くの方が古く思うだろう。そしてここに出てくるタイプの新幹線はもうほとんど隠居している。
新幹線らしく疾走感のあるメロディー。以前に書いた「ヤッホーしんかんせん」でもそうだが、歌手の歌い方も含めて「走っている」感がたまらない。それで子どものワクワク心をくすぐる歌詞もまた秀逸。個人的に好きな歌詞をいくつか抜粋してみよう。
「ちぎれ雲、流れ雲、また追い越した」
ここ、妙にエモーショナル。子どもにもわかりやすい絶妙な表現だ。どんどん走っていくもんね。
「夢のようだね つばさ号」
たしかにねえ、山形県にお住まいの方は悲願ともいえたのではないでしょうか。私も山形の人ではないが、あの400系が非常にかっこよくて大好きだった。だから夢のようだねという表現はしっくりきた。ちなみにつばさはそんなに速くない。時速270㎞も、また懐かしいなあ。
「楽しいね 嬉しいね また乗りたいね」
これに尽きる。これがいちばんいい。この気持ちがなくなっている私は人としてどうかしていた。ああ、歌は大切な何かを思い出させてくれる。夢や希望が当時は溢れていた。私だけでなくきっと世間も。