見出し画像

名曲122 「My Sweet Darlin'」【矢井田瞳】

ーーPVを見てほしい愛の形を訴えた名曲ーー

【My Sweet Darlin'】

ダーリンダーリン♪ついつい口ずさんでしまうフレーズというのは名曲の証だが、今回の曲は世代を超えてついつい言っちゃうレベルだろう。

この曲がリリースされた当時(2000年)、矢井田瞳のことをチャラそうなお姉さんという感じがして私は何となく敬遠していたのだが、実は評価されるべき存在であった。正統派も正統派、めちゃくちゃ詞の表現もうまい。

ヒット曲の中でも特に有名なのがこの曲だ。タイトルだけではわからない人がいるかもしれないが、サビを2秒聞かせれば「あっ聞いたことある」となる。中毒性は2000年代の中でもトップレベル。

それほど印象に残る出来にした作者は矢井田瞳自身なのだ。作詞作曲担当をしている。

{Darlin,Darlin' ここに来て 見えるでしょう 私が
Darlin,Darlin' あの日のキッス 忘れたふりするなら
Darlin,Darlin' 横顔はもうあきた こっち向いて}

いかにも欧米チックな感じ。だけどもよく見ると歌詞の内容は切ない。一方的な恋なのだと思わせる。

{ビルも道路も世界もひと思いに壊れてもいい だってその方があなたを見つけやすいでしょう? 神様はいない だって祈ったもん 想いが届きますようにって 祈ったもん…}

これは若い女性にドンピシャの刺さる表現ではないだろうか。広瀬香美を彷彿とさせる神歌詞だ。祈ったもん。なんかかわいさもあって男性側が思わず「バカだなあ」って小突きたくなるのもいい。

この曲はシンプルに名曲なのだが、ぜひとも見ていただきたいのがPVである。ちょっとカプセルホテルみたいな「居心地の悪い」場所に入れられている計13人。ただの若者かと思いきや、どこか妙な感じだ。

わかる人はすぐにわかっただろう。皆LGBTの方々なのである。

2番のサビからは矢井田瞳がホースで水をぶわっとまき散らす。彼らたちに向けて。それはまるで「さらけ出しちゃえよ」「オープンでいこうよ」といったメッセージのようである。

水を浴びてからの13人は表情が生き生きとしている。当時LGBTについては今よりも肩身が狭かっただろう。その時代に目を向けていたことは評価できる。矢井田瞳自身の関心の高さがうかがえるではないか。いまこそ再評価されてほしい名曲の一つである。

【今日の名歌詞】

神様はいない だって祈ったもん 想いが届きますようにって 祈ったもん…


いいなと思ったら応援しよう!