(音楽話)57: k.d. lang “Barefoot” (1991)
【裸足】
k.d. lang “Barefoot” (1991)
ご存知でしょうか、k.d. lang。1961年カナダ・エドモントン生まれ。幼少期からシンガーに憧れ、最初はカントリー畑のシンガーとして世に出てきました。カナダはもとより米国でも売れ、さらに92年には路線変更したアダルトなシングル”Constant Craving”とアルバム「Ingénue」が大ヒットしました。その後もコンスタントにアルバムをリリースし続け、特に地元・カナダでは今や国民的歌手のひとりと言っていいと思います。
佇まいが非常に骨っぽく、カッコいいダンディズムすら匂わせる。同性愛者であることをカミングアウトしていますがそれ云々は関係なく、この人の世界観は性別を超えた独特のもの。ましてや歌唱力・表現力の高いシンガーなので、聴いててとてもホッとする。
(若い時の顔を見るといつも思い出すのが…Roxy Musicのダンディ、Bryan Ferry…誰かに伝われ汗)
“Barefoot”は、彼女が91年に主演したドイツ映画「Salmonberries」に使われた曲で代表曲のひとつ。当時の「アンプラグド」ブームの中、彼女もMTVのLive Unpluggedでこの曲を歌っているのですが、これがまた素晴らしい。彼女の低音とファルセットの伸びやかさがとても心地良く、落ち着いた空気感を醸成しています。
歌詞は少々抽象的なものの、自分の居場所・ポジションを探していた本人の当時の心境が表れているように思います。外の世界の冷たさ・厳しさをモロに食らいながら、それでも懸命に「裸足で」生きていこうとする姿。私は、私のままで、偽りなく、生きていくーーー劇中歌なので映画の内容に則して作ったのかもしれませんが、時代背景などと合わせてあれこれ考えてしまいます。
他のシンガーが歌っているところをほとんど見たことがない曲。でもこれ、名曲だと思います。誰か歌ってくれないかしら…?
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ここで陽が落ちて
夜の帷が 下りていく
冬のブランケットには
温もりなんて 全く残っていない
避難する場所を探してたあなた
嵐を やり過ごすために
とにかく震えていたね
ただ 暖をとるために
でも私は雪の中 裸足で歩いていく
あなたが心の扉を 開いてくれたなら
私は雪の中 裸足で歩き通してみせる
聞こえてくるはず
犬と風の 遠吠えが
まるで秘密をほじくり返すよう
もうとっくに 凍ってしまってるのに
氷は容赦無く襲いかかって
あなたの心の 奥底に居座る
それに雁字搦めになって
あなたの夢までも 硬らせていく
でも私は雪の中 裸足で歩いていく
あなたが心の扉を 開いてくれたなら
私は雪の中 裸足で歩き通してみせる
この風が…私の魂を通って…寒さを吹き飛ばしてくれる
でも私は雪の中 裸足で歩いていく
あなたが心の扉を 開いてくれたなら
私は雪の中 裸足で歩き通してみせる…
(k.d. lang “Barefoot” 意訳)
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