(音楽話)19: Daryl Hall and John Oates “Possession Obsession” (1984)
【憎愛?深愛?】
Daryl Hall and John Oates “Possession Obsession” (1984)
Daryl Hall and John Oates。多くの方がご存知でしょう。
彼らの楽曲の多くは本人たちーDarylもしくはJohnによるものですが、実は二人の共作はほぼないといいます。彼らにとって楽曲制作の重要なパートナーが、SaraとJannaのAllen姉妹でした。SaraとDarylは2001年頃まで長年カップルだったのは有名な話ですし(”Sara Smile”はSaraに向けてDarylが歌ったラヴ・ソング)、そしてその妹JannaもHall & Oatesにソングライティングで深く関わりました。Sara・Janna・Darylらによる”Private Eyes”(Darylの後年インタビューによるとメインはJannaだそう)。SaraとDarylの”I Can’t Go For That (No Can Do)”や”Maneater”、JannaとDarylの”Kiss On My List””Did It In A Minute””Method Of Modern Love”などなど。ちなみにJohnとAllen姉妹の共作は…ほぼないみたい。
もうお分かりですね?
SaraはDarylと恋人関係でしたが、Jannaもまた、Darylと濃い関係であったはず。つまり非常に微妙な三角関係…SaraとJanna、それぞれが関わった楽曲の歌詞を比較したり深読みをしていると、意味深なフレーズが多くてもう…。しかしJannaは93年に36歳の若さで白血病で逝去。90年代以降、Hall & Oatesがヒット・チャートに現れることはほぼ無くなります。Allen姉妹の存在はHall&Oatesには、というより特にDaryl Hallには、大きかったようです。
…とここまで語っておいて今回の”Posssession Obsession”、Johnがメイン・ヴォーカルです。なんかタイトルからしてスゴい。だって「所有執着」ですよ?ソングライターはJohn、Daryl、Sara。Johnが歌っていることがポイント。そして歌詞に込められている意味がとても重い気がします。
「君の内にある隙間を埋めるのは お金?愛?力?」
「君はもっと 思慮深くあるべき」
「お金をかければかけるほど 手に入るものは少なくなっていくよ」
「それって 手に入れたい欲の塊になってるってことじゃない?」…
とても恣意的。もしもこれ、Darylが歌っていたらもっとネットリしたムードになってしまうところ、ソウルフルに甘く歌うJohnの声が軽くしてくれます。これで良かったと聴いて思います…笑
こういう思わせぶりな歌詞は、聴く者をスッと歌の世界に誘ってくれます。ムーディなサウンドとメロディと共に、痺れていくーだから音楽って大好きなのです。