モチーフ
大正・昭和の時代を駆け抜けた、佐賀出身の女流画家・甲斐仁代(1902-1963)の晩年の作品の主なモチーフとなっている、「りんご」について、より詳しく探ってみたいと思い、書いています。
1961年頃は特にりんごをモチーフにした作品を、仁代は、多く描いていますが、なぜ、仁代は、りんごをモチーフに選んだのでしょうか。
りんごをモチーフに描いていた画家を調べてみると、ポール・セザンヌ(1839年1月19日-1906年10月22日)。後期印象派のフランスの画家で、ひとつの物を様々な視点から捉えて描く方法で、有名となった画家で、後にピカソなど影響を与えています。
セザンヌの代表的な作品は、
りんごとオレンジ(1899年) 油彩・カンヴァス 74×93cm オルセー美術館/パリ。
2018年 佐賀県立博物館・美術館で開催した
「甲斐仁代と吉屋信子に捧げるオマージュ展」で、展示した作品。
「静物」佐賀県立美術館所蔵
甲斐仁代は、近代洋画の巨匠・岡田三郎助より、
アカデミックな洋画方法を学びます。
次第に、個性を発揮し、大胆な色使いや素描が特徴で、原色をふんだんに使い、色彩豊かで、伸びやかな筆運びで、赤の使い方は、アンリ・マティス(1869年-1954年)の作品を連想させます。
セザンヌ、マティスの作風や、その時代背景も調べつつ、独自に仁代がこだわったモチーフのリズムを音楽的関連からも、考察していこうと思います。