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【アーカイヴ】第100回/2年半余りの内容を振り返る[村井裕弥]
3人で書き継いできたこのコラムも、ついに100回を迎えた。先月担当者から、「何でもご自由にお書きくださいという形で始めちゃって、かえって書きにくかったでしょうか」と訊かれたが、冒頭に「雑誌に書かせてもらえない、ここだけのオーディオ・トピックス」とあるように、「どこからも依頼の来ないネタ」「少々危なくて書きにくいネタ」を毎月気持ちよく書かせてもらっている。
いま、自分のバックナンバーをざっと読み返したが、
○ ミュージックバードのチューナーとアンテナ(使いこなし術その他)
○ ソーラーパネル・オーディオに取り組む仲間たち
○ オーディオ仲間に会うため(?)全国漫遊
○ 雑誌には書けないけれど、何とか紹介したいガレージメーカー
○ 音楽家とオーディオとの関係
○ 自分が講師をつとめたオーディオ・イベント秘話
◎ PCオーディオ、ネットワークオーディオの現状とこれから
◎ いわゆるニセレゾ問題(オリジナルマスターのフォーマット表示を義務づけよ!)
○ ハードが製造中止になると、例外なくメディアは廃棄されてきたが、ハイレゾはけしてそうならない!
○ DSDレコーダーを使った生録のすすめ
◎ オーディオ機器を一体型にするメリット
のようなテーマが柱となっている。確かに多くが「どこからも依頼の来ないネタ」だ。
読み返してつらかったのは第73回「江川三郎先生の40年にわたる業績を振り返る」だけか。「こんな文章では、とても江川先生の偉業は表しきれない」とおのれの力不足を痛感し、申し訳なく思ったからだ。
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筆者も近年「オーディオ評論家」と紹介されることが増えたが、本当の評論家とは、暴風雨にさからって歩むがごとくメーカーに警鐘を鳴らし続け、オーディオ愛好家たちの光となり、世の中の流れを変え、何十年か後「あの人の言っていたことは正しかった」「結局あの人の言う通りになった」といわれる人のことだ。
「そういう人になりたいなあ」と思ってこの仕事を始めたのだが、現状は評論家に程遠く、ちょうちん持ちレビューアーがやっと? 江川先生は、きっとあの世で笑っていらっしゃるに違いない。
(2015年11月20日更新) 第99回に戻る 第101回に進む
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収録日は必ず行き付けの和食屋さん(@半蔵門)
でランチするそうです(笑)
【祝!コラム100回記念インタビュー】
ミュージックバード出演中のオーディオ評論家3名による当コラムは2013年から始まり、今回でめでたく100回を迎えました。第1回目は村井裕弥さんに書いていただきましたが、記念すべき100回目も同じく村井さんの回となりました。・・・というわけで、収録中のスタジオを直撃しました!
――「とりあえず、何でもいいから好きなオーディオネタを書いてください!」という、こちらの無茶ぶりに近い注文で連載がスタートしたのですが・・・
村井「いや、好きなこと書けるからね。コレについて書いてって言われるよりプレッシャーないから。楽しく書いてますよ。」
――そう言っていただいてホっとしました!先日の「オーディオ・ホームシアター展」、ミュージックバードブースでもご活躍いただいてありがとうございました。
村井「いやいや、こちらこそ。さすがに3日間も出てるとね、連日来ていらっしゃるお客さんの顔を覚えちゃって、最終日の朝、お台場行きバスの中で『あ、あなたは』とお互い声かけあって(笑)。すごいんですよ、その方。ちゃんとホテルを押さえて、泊まりがけでいらしている。『こういう熱心な方のために、もっとがんばらなきゃ』と思いましたね。」
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――(笑) 3日間も大変でしたよね、お疲れ様でした。こういった試聴会や講演会のお仕事も多くやられてますが、緊張はしませんか?ちゃんと聞いてもらえるかな?伝わるかな?とか・・・。
村井「講演会って、聞く気のない人たちを集めてるわけじゃないですから。ちゃんと話を聞く気があるオーディオマニアの方々が集まっているわけだから。たまにアンチ村井の方もいらっしゃいますが(苦笑)、ほとんどの方が僕の文章を読んで共感したから来てくださっている。だから、とても幸せな気持ちでマイクを握れるんです。話すうち『うんうん』と何人かの方がうなずいてくださると、もうノリノリ。かける音楽も、どんどんハイになっていく。試聴会・講演会って、ある意味ライヴみたいなものですから、これからもお客さんたちと大いに盛り上がりたいですね。」
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なるほど、何事も気負わずに楽しんでやってらっしゃる様子が伝わりました。
引き続き番組もコラムもどうぞよろしくお願いします!(担当:関根)
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過去のコラムをご覧になりたい方はこちら
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音楽之友社「ステレオ」、共同通信社「AUDIO BASIC」、音元出版「オーディオアクセサリー」で、ホンネを書きまくるオーディオ評論家。各種オーディオ・イベントでは講演も行っています。著書『これだ!オーディオ術』(青弓社)。