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【アーカイヴ】第135回/DL-103を聴き「マイファイだもんね」とへらず口を叩く10月[田中伊佐資]
●10月×日/藤沢の湘南台にある「でんき堂スクェア」を訪問。ここは永遠の古典カートリッジ、デノンDL-103のチューンアップをやっている。
店長の石峯篤記さんには、先のインターナショナルオーディオショウで知り合った。チューンの話がそのときにちょっと出て、一も二もなくステレオ誌の「ヴィニジャン」のために取材しようと思い立った(11月19日発売の12月号に掲載)
石峯さんは「オーディオ歴が進むと103はどうも低くみられがちですよね」と残念がっていたが、僕も相当侮れないカートリッジだと思うようになっている。
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僕はつい近年まで「原音を高忠実度再生=ハイファイ」を心懸けていたが「人が作った音を、自分の家でそのまま模写して、いったいそれがどうしたっつーの」と開き直っている。自分が良ければそれいいだろう。好きな音楽が気持ちよければそれでいいのよ~。ハイファイじゃなくて自分基準のマイファイだもんね。とまあそういう気分なのだ。
それで、ハイファイ度でいうと最新録音盤などを聴くと103は決してポイントが高いとはいえないだろう。だがマイファイ度ならいい線いっている。
真面目くさった音だが、工夫するとそれにさっと応えてくれる。ちょうど再評価していたところに石峯さんと知り合ったのである。
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それで、でんき堂スクェアの103チューンだが小技は横に置いといて、大技が2つある。1つが樹脂のボディを外して、素っ裸にしてしまうネイキッド化。もうひとつがボディの寸法を完全コピーしたアルミ製に換装するロボコップ化。改造といえば改造だが、どちらも元に戻せるところがいい。
音はショップで確認した。ネイキッドは本当に見た目のままの音になった。解放感があってストレスなく音場がたっぷり広がる。
アルミ・ボディのロボコップは音圧がアップして筋骨隆々の音になった。これも見た目のままかもしれない。アルミの鳴きはまったくない。
これはかなり面白い。石峯さんは「103を持ってきてもらえばやりますよ。遊べますよね。中古ならそんな高くないし」と楽しんでいる。
そうか。新品だって実売3万円以下。卵とDL-103は物価の優等生。まずはこの値段に感謝しないといけなかった。
●10月×日/中村製作所のアモルメット・コアについて「この件、要模索でしょう」と記したのが8月(こちら)。各種ケーブルをその輪っかに通すだけで、ノイズを除去するという手軽なものだが、なんだかよく効く。
電子制御化が著しい近年の自動車にも採用されているらしく、電気理論的に説明がつくようだが、電気が通るわけでもないので不思議な感じがする。オカルトグッズと勘違いする人もいるのではないだろうか。
泣きどころはリングが小さくて、ケーブルの太さが限られていたこと。そしたら、緊急開発製品とやらで、RCAプラグも通るビッグサイズが出た。これで急激に適応ケーブルが増えた。
さっそく微小信号が通過するフォノケーブルに試したら、スピーカーケーブル使用時と同じかそれ以上に、音の色合いが濃くなって(再現を邪魔していたノイズが減って)ゴキゲンになった。
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というモニター報告を中村社長にしたら「もっと面白いものがありますよ」と送られてきたのがRCAケーブル。内部にアモルメットが仕込んであるようだ。これも同じような音調でお高いケーブルといい勝負をする。
どんな線材を使ったかを社長に尋ねてみると、プロトで試しに作ったものなので、ちょっと公言できないくらいお粗末なものらしい。つまりはアモルメットのノイズ除去が強烈に効いている。
中村製作所はさすがにもっとコストをかけて、ケーブル製造にもこれから乗り出すらしい。高純度の導体とか高級プラグとか、いったいなんなんだということになる可能性もある。ケーブル業界は騒然とするのかも。
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(2016年11月10日更新) 第134回に戻る 第136回に進む
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東京都生まれ。音楽雑誌編集者を経てフリーライターに。現在「ステレオ」「オーディオアクセサリー」「analog」「ジャズ批評」などに連載を執筆中。著作に『音の見える部屋 オーディオと在る人』(音楽之友社)、『僕が選んだ「いい音ジャズ」201枚』(DU BOOKS)、『オーディオ風土記』(同)、『オーディオそしてレコード ずるずるベッタリ、その物欲記』(音楽之友社)、監修作に『新宿ピットインの50年』(河出書房新社)などがある。
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