人生を変えたケイト・ブッシュの3曲
これまで1万枚以上のレコード&CDを買い漁り、聴きまくってきた音楽ジャンキーな自分は、もちろん音楽に感化された経験も数知れず(笑)
中でも、最も敬愛するケイト・ブッシュの影響は絶大で、彼女によって人生が変わったと言っても過言ではありません。
というわけで、自分の人生を変えたケイトの3曲をご紹介します!!
1.衝撃のファースト・インパクト「嵐ヶ丘」
忘れもしない1986年。自分が中学3年の時、たまたま聴いていたFMラジオで突然流れてきたのが、ケイトのデビュー曲にして代表曲でもある「嵐ヶ丘(Wuthering Heights)」(1978年リリース)でした。
聴いた瞬間、「なんだコレは!?」と頭をハンマーで殴られたかのような衝撃を受け、曲が終わってラジオ・パーソナリティが言うであろう曲名を聞き逃すまい・・・と、ペンを握りしめたのです。
そして、無事聞き取った曲名「嵐ヶ丘」とアーティスト名「ケイト・ブッシュ」を紙に書き留め、それだけを頼りに、札幌のタワーレコードへ向かったものの・・・
80年代といえば、まだインターネットもスマホも無い時代。曲名やアーティスト名が分かったところで、その曲を収録したアルバムのタイトルを調べる術もなく、どんなジャケなのかも分かりません。
しかも、当時のタワーレコードは、まだ輸入盤専門店だったため、当然ながらレコードに書かれている曲名は英語だけ。
そこで、致命的な問題が発覚。
「嵐ヶ丘」がどのアルバムに入っているのか、分からない!!
そこで、日本盤を扱っている他の店へ移動し、邦題で書かれた収録曲をチェックし、ようやくお目当てのレコードを発見!!
おお!このジャケのLPに収録されてるのか!!
そこで素直に日本盤を買えば良かったのでしょうが、使う金額を節約したい中学生としては、少しでも安い輸入盤を買いたい・・・
というわけで、再びタワレコへ戻って探すも・・・さっき発見したジャケが見当たらない!!
ここで、二つ目の問題が発覚します(苦笑)
実はこのアルバム、日本盤と輸入盤ではジャケが違うのです!
迷いに迷って何度か日本盤を扱う店とタワレコを行き来するうちに、邦題「嵐ヶ丘」の原題が「Wuthering Heights」で、アルバムの邦題『天使と小悪魔』の原題が『The Kick Inside』であることに気づきました!
なんでジャケが全然違うんだよ!!
と怒りつつ、とりあえず日本盤よりちょっと安かったアメリカ盤レコードを無事ゲット。
さらにイギリス盤、カナダ盤、ユーゴスラビア盤なども、それぞれ違うジャケだということを後に知ることとなり、それらも買い集めることになろうとは、この時点では知る由もありませんでした(笑)
↓その後、このLPだけでも何枚買ったことか・・・
と、このレコードをゲットするまでの苦労話はこれくらいにしておくとして。
「嵐ヶ丘」は、自分がそれまで聴いたことが無かった魅力に満ち溢れており、例えば高音で歌われる表現力豊かなヴォーカルであったり、ピアノのイントロから始まる浮遊感あふれる夢心地なサウンドであったり、後半のギター・ソロでどこまでも続くかのような壮大な世界観があったり・・・
それまでマイケル・ジャクソンやマドンナ、プリンスといった当時のヒット・チャートばかり聴いていた中学生にとっては、異質な音楽であると同時に、何度もリピートしたくなる中毒性があり、一気にハマってしまったのです・・・(ちなみに、マイケル、マドンナ、プリンス、ケイト、全員1958年生まれの同級生!天才アーティストばかりの当たり年!個人的に全員大好き!)
「嵐ヶ丘(Wuthering Heights)」オリジナル・ヴァージョン 1978年
エミリ・ブロンテの小説「嵐ヶ丘」からインスピレーションを受けて書かれたケイトの自作曲なのですが、そんな物語性のある歌詞とサウンドが見事にマッチしており、楽曲の背景までも探求したくなるというか、そこまで好奇心が掻き立てられるなんてことは、この曲と出会うまでは無かったんじゃないでしょうか。
そして、パントマイムを駆使したPVでのパフォーマンスも加わると、さらに魅力が増し、異次元の世界に連れていかれるような感覚に陥ってしまいます。単なるシンガー・ソングライターではない、様々な演出を含めたトータル・アートを創り出す、アーティストと呼ぶに相応しい存在なのです。
ちなみに1986年にリリースされたベスト盤には、再録された「嵐ヶ丘」が収録されているのですが、初々しいオリジナルとは異なる、貫禄のある妖艶な雰囲気がこれまた魅力的!(オリジナルも再録も、甲乙つけがたい!)
「嵐が丘’86(Wuthering Heights New Vocal)」再録ヴァージョン 1986年
「嵐ヶ丘」によって、音楽をより深く聴きこみ、探求するようになったわけで、まさに自分にとっては人生を変えられた一曲と言えます。
後に、明石家さんまさんが司会を務める某テレビ番組のテーマ曲として使われたことで、日本でも「嵐ヶ丘」は有名になったのですが、おかげでケイトを知らない人にケイトのことを説明しやすくなったので、非常に助かってます(笑)。さんまさんには感謝しかありません。
2.店の名前の由来「ガッファにて」
自分はおよそ20年ほどサラリーマン生活を送った後、42歳でそれまで勤めていた会社を退職し、2014年に札幌で洋楽を聴きながらお酒が飲めるバー、ガッファを開業しました。
月日は流れたものの、中学生以降もケイト・ブッシュこそが自分にとってのオールタイム・フェイヴァリットなアーティストであり続けたので、当然ながら店のコンセプトにおいてもケイトは無視できない存在です。
というわけで、ケイト仲間に店名について相談したところ、満場一致で「ガッファ」しかない!との後押しをいただき、迷うことなく「ガッファ」に決定!
そんな店名の由来となったのが、ケイトの曲「ガッファにて(Suspended In Gaffa)」
1982年にリリースされた、ケイト4枚目のアルバム『ドリーミング(The Dreaming)』に収録。フランス、ドイツ、スペイン、オーストラリアなどではシングル・カットされたものの、本国イギリスやアメリカ、日本などではシングル・カットされなかったので、お世辞にも彼女の代表曲とは言えません。
「Gaffa」という単語は、Gaffer Tapeの略と言われており、直訳すると、業務用の強力な粘着テープのようなもので、「身動きがとれない、離れることが出来ない」状況を表している言葉のようにも解釈できます。
とりあえずケイトは歌詞の中で、「Gaffa」を立ち止まる空間・場所を示す固有名詞として用いているのは間違いなさそうですが(ケイトが生み出した想像上の造語なのでしょう)。
この楽曲の歌詞は様々な解釈が出来、ファンの間でもたびたび議論されているのですが、自分は「気軽に立ち寄っていただき、その居心地の良さから離れられなくなっていただけたらいいな。」という思いを「Gaffa(ガッファ)」という店名に込めました。
「ガッファにて(Suspended In Gaffa)」 1982年
ケイト・ファンでもなければ、「ガッファ」なんて単語は思いつかないでしょうから、他の店名とカブって間違われることもなさそうですし、自分にとってはまさに「コレしかないでしょ!」という店名なわけです。短い単語である点も、覚えやすくていいですよね!
現在、開業してから8年目となりますが、毎年開業記念日の7/11には必ずかけている、大事な曲となりました。
バーを開業する転機となった際、後押しされた曲でもあるので、まさに人生を変えられた一曲なのです。
3.奇跡の生ケイトの歌声「クラウドバスティング」
ケイト・ブッシュはデビュー翌年の1979年にイギリス国内およびヨーロッパ・ツアーを行って以来、ライヴを全く行ってこなかったので、生でケイトの姿を拝み、歌声を聴けることは一生無いだろうと諦めていました。
そんなケイトが、まさかの35年ぶりとなる本格的なライヴを行うとのニュースが、2014年3月に全世界を駆け巡り、思わず狂喜乱舞しちゃいました!!これぞ、まさに人生最大の青天の霹靂!!
なんと、ロンドンのEventim Apollo(旧ハマースミス・オデオン)で15日間公演を開催するとのアナウンスが!!(その後7日間が追加され、合計22日間公演となりました)
飛行機嫌いのケイトが、今後日本に来ることはまず考えられません。いや、日本どころか、イギリス以外の国でライヴを開催することは無いでしょう。
「一生ケイトのライヴなんて見れるわけがない」と諦めていた世界中のケイト・ファンが殺到することは間違いなく、インターネットで販売されたチケットは当然ながら即完売!!
そんなプラチナ・チケットを、まさかゲットできるとは!!奇跡としか思えない!!(しかも2日も!!)
実は、ケイトのオフィシャル・ホームページにメール・アドレスを登録してあった人にだけ、チケット先行販売の案内が届いたのです!!
こんなこともあるから、普段から好きなアーティストのページにはちゃんとメアド登録しておくべきです!!
というわけで、当時オープンしたばかりの自分の店(ガッファ)を一週間休んで、人生初のイギリスへ!!
感動のあまり、帰国直後に長文ブログを書いたので、ライヴの詳細を知りたい方はそのブログをご覧いただくとして・・・
もう、感動を通り越して放心状態に陥りましたね。
「嵐ヶ丘」の項でも書いたとおり、ケイトは単なるシンガー・ソングライターではありません。そんなことは分かっていたはずなのに。
単なるコンサートではない、我々の想像や期待を遥かに超える演出が施された完璧なアートの世界を見せつけられ、あまりの凄さに圧倒されてしまったのです。目の前で展開されるパフォーマンスに、頭が追い付かないというか(苦笑)
そして、このライヴの最後、アンコールで披露された「クラウドバスティング」の何ともいえない高揚感を、今もなお引きずってます・・・
「クラウドバスティング」(Cloudbusting) 1985年
約3時間弱にも及んだ感動的なライヴを締めくくるのに、もってこいの曲。楽しそうに歌うケイトを囲んで、会場全体に満ち溢れる一体感。
まさに「長年ケイトを聴き続けてきて良かった!」と思えた瞬間であります。
まさか40歳を過ぎて、ライヴ・コンサート、ロック・コンサートの概念を覆されるとは思わなかった!!演劇・ミュージカルのような要素もありつつ、他に比較対象が見当たらないので、言葉で説明するのが難しいのです。
こんなライヴが出来るアーティストはこれまでいなかったし、これからも出てこないのではないでしょうか?それくらいの衝撃を受けてしまったのです。頼むから、オフィシャルでこのライヴ映像をリリースしてほしい・・・(22日公演のうち、2日間はビデオ・シューティングが行われていたはずなので、映像素材は残されているはず!!)
※ちなみに、この時のライヴ音源はリリースされてます(輸入盤のみ。予定されていた日本盤は発売中止。)
もう、この最高峰のステージを超えるものに出会える気がしない!
というわけで、この時のライヴ全体、セットリスト全曲に人生を変えられたのですが、とりあえずライヴでラスト・ナンバーとなった「クラウドバスティング」を今回は選んでおくとしましょう。その余韻をずっと引きずりながら、ケイトの音楽活動の再始動をワクワクしながら待ちたいと思います!
最後に
こうして振り返ってみると、自分はホントにケイト・ブッシュが好きなんだなと痛感してしまいます(笑)
そして、これまでも、これからも、ケイトに導かれる人生なのかもしれません。
今回あえて選んだ3曲以外にも、好きな曲は山ほどあるので、また人生の転機が訪れた際には、必ずやケイト・ブッシュの曲を聴いていることでしょう。
※今回はケイトの話に終始しましたが、ミュージックバー・ガッファは80年代にヒットした洋楽を中心に、幅広く楽しめる店なので、気軽にご来店ください
※北海道からの時短営業要請に伴い、只今ガッファは10/14まで休業中です