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Kona Linux 7 cinammonにバージョンアップで大幅音質向上。Ubuntu Studioとも比較してみた。
「Low Cost but HighEnd Sound Systemの構築~その1」にて、Kona Linuxを導入したPCを音源にしていましたが、最近、Kona Linux6をKona Linux7にバージョンアップしました。USB-DACも変更しましたが、バージョンアップの効果が大きく、音質が大幅に向上しました。また、同時にUbuntu Studioも同じPCにインストールしましたので、音質面、使い勝手面で比較します。
kona Linux 7と以前のバージョンとの違い
Kona Linux 7は、”Kona Cofee”さんがこだわって改造した数種類の高音質(Liunx)カーネルが使用できます。CPUによっては高音質カーネルが使えない様ですが、筆者のノートPC(CPUは古いCore i3)では無事使えました。また、高音質カーネルにすると高音質ドライバーが使え、両方の変更で大幅な音質向上が図れます。
Kone Linux 7のインストール
ダウンロード
以下からisoファイルをダウンロードします。
Kona Linux Googleドライブ
筆者は、
konalinux-7-cinnamon_x86_64.iso
をダウンロードしてクリーン・インストールしました。
デスクトップ環境にcinnamonを使っていますが、メモリ消費が大きいようで、インストール完了時にリブートがうまくできず強制電源オフしてしまいました。その後、再起動で無事Kona Linux7が立ち上がりましたので問題はなかったのですが、デスクトップ環境にMATE(マテ)を使った
konalinux-7-mate_x86_64.iso
の方が、メモリ消費は少なく、トラブルが少ないようです。見た目も良く使い易いと思います。
実はcinnamonの前にMATEをインストールしてみたのですが軽快で使い勝手のよいデスクトップ環境でした。今回、試しにccinnamonを導入したのですが、innamonの上質な操作感が気に入りました。
インストール
上述でダウンロードしたisoファイルをDVDに焼いて起動ディスクを作成し、PCを作成した起動ディスクで立ち上げます。DVDからKona Linuxが立ち上がります。本来の音質は発揮できないかもしれませんが、基本的な動作はここで確認出来ますので、この時点でインストールするかどうかを再考できます。デスクトップ上にインストール用のアイコンがありますのでクリックすることでインストールが開始します。
ここではインストールの詳細は述べません。Kona LinuxやKLUE、Ubuntu、Debianなどでネット検索すれば各ディストリビューションのインストール方法の解説が見つかるからです。
高音質化
インストール直後の状態でも良い音なのですが、以下の手順にて高音質化を図ります。
・高音質カーネルのインストール
・Grubの読み込みと保存
・サウンドの設定
・Pulseaudio/Pipewireの設定
高音質カーネルのインストール
メニューの システム管理 → 高速カーネルインストーラ
を選択します。
![](https://assets.st-note.com/img/1738429267-Bfsv47Jqu8HepiCoE15LrRt3.jpg)
ここで、お好みの高音質用カーネルをインストールします。
筆者は、
kona、kona2、dovetail、zen、tkgをインストールしました。
複数インストールし、Grubの選択画面(Linux起動前の選択画面)で高音質カーネルを選択してLinux起動できますので、全種類インストールするとよいかもしれません。
Grubの読み込みと保存
インストールした高音質カーネルもGrubに認識させなければなりません。
メニューの システム管理 → Grub Customaizer
を選択します。自動でカーネルのリストを認識して表示しますので、このまま保存します。
![](https://assets.st-note.com/img/1738430045-ufyc18At3zWabY2rTpms7ewv.jpg?width=1200)
ついでに、Grubの選択画面でゆっくり選択できるように待ち時間を長め(10sec)にします。このあたりはお好みで。
![](https://assets.st-note.com/img/1738430234-WPNvZo74gAHp9rYT1B3yn6aV.jpg?width=1200)
保存完了したらGrub Customizerを終了します。
リブートすると、Grubの選択画面で高音質カーネルを選択できるようになります。
サウンドの設定
メニューの 設定 → サウンドの設定
を選択します。
![](https://assets.st-note.com/img/1738430392-sGdk1XgNnLhvUqa4OWSowxeJ.jpg)
KonaLinuxの製作者(kona Cofeeさん)があらかじめプリセットを用意しており、高音質ハイブリッドが最も良い音らしいです。筆者はkona cofeeさんの推奨に従って高音質ハイブリッドを選択します。
また、USB高音質ドライバーを有効にするを選択します。
OKを押し終了します。
Pulseaudio/Pipewireの設定
メニューの 設定 → Pulseaudio/Pipewiremの設定 を選択します。
![](https://assets.st-note.com/img/1738431245-LWzvq07RhVrSU1JtFC5QxiOm.jpg)
ここで、使用しているUSB-DACに合せてサンプリングレート、サンプルフォーマットを設定します。
以上で高音質化の設定が完了しました。
使用感(試聴、使い勝手)
使用ノートPCは、7年ぐらい前のもので、性能は以下、
CPU Core i3-6100U-2.3GHz
メインメモリ 4GB
HDD 500GB
USD-DACは、
Topping D10s (最大PCM32bit/384kHz)
で、内部opアンプをLME49860MAXに交換したものです。
ディスクトップ環境のcinnamonは(gnomeやkdeほどではないが)少し重めの環境のはずですが、上述PCで軽快に動きます。外観は上質で、Kona Linuxに含まれるテーマや壁紙を変更して落ち着いた感じになりました。
![](https://assets.st-note.com/img/1738595884-W8ubJTst4E1PVelnU0Cq2FoM.jpg?width=1200)
Windows11の機能的だけどそっけない感じとは異なり、使っていてうれしくなります。
さっそく、Audaciousを動かし、音楽を流します。
音響機材は
プリアンプ FX-Audio- TUBE-03J
(オペアンプはOPA827、LME49860に交換したもの)
パワーアンプ Low Cost but HighEnd Sound Systemの構築~その3
で製作したペーパーボックス・ミニアンプ
スピーカー Low Cost but HighEnd Sound Systemの構築~その11
で製作したスピーカー
スーパーツィーター MusicaNote(弊社)製 S-STW101
高音質カーネルkonaの場合
kona cofeeさん推奨のカーネルです。
バランスが取れた良い意味でノーマルな音です。kona2やzenと比べるとキレや解像度が若干抑えられているように感じました。長時間音楽を聴く場合には良いかもしれません。
高音質カーネルkona2の場合
koneと並んでkona cofeeさん推奨のカーネルです。
konaと同じくバランスの取れた音です。konaと比べて繊細で解像度高く情報量も多い。倍音やリバーブ・ホールトーンを自然な感じで聴かせますがそれを主張しません。おそらく長時間聴いても疲れないと思います。
筆者がもっとも気に入ったカーネルです。
高音質カーネルtkgの場合
”美音”の表現が気になります。実際に聴いてみると、konaに若干強めで解像感の高い高音がのった感じです。
高音質カーネルzenの場合
”豊かな響き”という表現に惹かれてインストールし聴いてみました。
”豊かな響き”のイメージとは少し異なり、繊細でやや細身の中低域(ただし量感は十分にある)で、インストールしたカーネルの中では最も解像度が高いように感じました。しかし、高域は、やや引っ込んで控えめです。
高音質カーネルdovetailの場合
”豊かな中低域”という表現ですが、そのコメント通り力強い中低域が特徴です。キレや解像度はkonaと同等のように思います。Rockには向くかなと思いました。
高音質カーネル音質全般について
高音質カーネルでは、ノーマルカーネル(amd64)と比べて、全般に繊細で、情報量が多く、キレが良いのが特徴です。それぞれの高音質カーネルの違いは、比べればわかる程度で、音響システムによっては全く別のように聴こえるかもしれません。本質的にはどれも良いと思います。お好みや気分に合わせて変えるのも楽しいと思います。
高品位なUSB-DAC(今回使ったUSB-DAC程度のもの)を使えば、高音質カーネル+高音質ドライバーで高級なネットワークオーディオプレイヤーに匹敵する音質を得ることが可能と思います。
安定性について
kona cofeeさんも24hr運転する用途には適さないと述べられていますが、時々、勝手にシャットダウンしたり、cinnamonを再起動させなければいけなかったりすることがありました。この件に関しては、Windowsでは極端に動作が遅くなっていた古いノートPCを使っているので、H/Wが原因の可能性もありますが、信頼性を要求するところには使わない方が良いでしょう。
ちなみに、Audaciousが動いている状態で画面の操作が出来なくなることがあったので、キャラクタ端末で安全にシャットダウンできるよう以下の操作は覚えていた方が良いでしょう。
ps ax | grep audacious
と入力すると、AudaciousのプロセスIDが表示されます。
そこで、
kill -9 AudaciousのプロセスID
と入力します。Audaciousが停止するはずです。
そのあと、
sudo shutdown now
と入力すると、パスワードの入力が促され、パスワードを入力すると
シャットダウンします。
その後、再立ち上げすると、これまで通りにLinuxが正常に立ち上がるはずです。
Ubuntu Studioとの比較
Ubuntu Studio 24.04LTSを、Kona Linux7.0からHDDの領域を分けてインストールしてみました。ディスクトップ環境はKdeのため、かなり重いディストリビューションです。
実際に、もっさりとした動作で、使ったノートPCでは力不足です。
音楽関係は設定をしやすく、ハイレゾも最大サンプリンググレート192kHzまでの設定(Kona Linuxでは最大384kHz)が可能で、実用上十分です。
音質面の比較
Ubuntu Studioは、低レイテンシーカーネル(たぶんリアルタイムカーネル)を使っており、音質面もカチッとした感じでなかなかのものです。これだけ聴いていれば十分と思うのですが、Kona Linuxの高音質カーネル+高音質ドライバーと比較したら、キレ、解像度、情報量はかなり落ちます。
やはり、音楽用には使わないなと思いました。
安定性
Ubuntu Studioは、アート分野のワークステーションとの位置づけなので、24時間運転には向いていないと思います。安定性という面では、Kona Linuxと同等だと思います。
使い易さ
DTMやデザイン関係のアプリがインストール直後から使えるので、アート関係のユーザーは便利だと思います。しかし、筆者はそのようなアプリを使う予定がないので、あまりメリットはありません。
他(Ubuntu Studio、KLUE以外)のUbuntuの場合だと、高いサンプリングレートで聴けるようになるまでの設定等が壁となりそうなので、Ubuntu Studioをインストールする意味はありますが、Kona LinuxまたはKLUE(Kona Linux Ubuntu Edition)の方がより簡単に使えます。
以上で、筆者にはUbuntu Studioは不要と感じ、ノートPCからは削除してしまいました。
まとめ
1)Kona Linux 7で高音質カーネル+高音質ドライバーで
ハイエンドレベルの音質を得ることが可能。
2)どの高音質カーネルを選ぶかで音遊びができ、オーディオを楽しめる。
3) 音質面では、Ubuntu Studioよりも
KonaLinux7(高音質カーネル+高音質ドライバー)の方が優れる。
以上でLinuxで音楽を楽しむ際の参考としてください。