ミュージカル「ひとりぼっちの夜」特別インタビュー(本公演パンフレットより)
―あなたの「役割」を教えてください。
星:ミュージカルサークルS&Dの代表と、S&D Projectの代表、この公演では監修をしています。星潤です。よろしくお願いします。
―監修とはどういうお仕事なのでしょうか?
星:作品を作る上では演出家がトップだと思うんだけども、僕は作品作りというより「公演作り」。一般的なミュージカルで言ったらプロデューサーというポジションかもしれない。サークルの代表でもあるので、サークルの方向性と作品の方向性が合っているかとか、そういう所も監修しています。
―ひらたさんの「役割」はなんですか?
ひらた:「ひとりぼっちの夜」では作・演出を務めています。サークルとしては演技指導だったりとか、日々の演技のことをやっております。
―お二人とも元々は役者をやられていたんですよね。なぜ作品作りの方へ移行されたのでしょうか?
ひらた:なんだろうね?私は単純に書きたくて四季を辞めたので。台本を書きたくて、自分が作る側になりたいなっていう意味もあって。
星:僕も、自分がプレイヤーでやってる事に……なんだろうな、それもまだまだやりたい事ではあるんだけど、作品を作ったりとかもやってみたいなって思った。劇団四季とかUSJとか、日本でも大きな団体に所属させてもらったんだけど、そこの一部でやるより自分がもっと主体となって作品を作ったり、物事を進めていきたいなって思って始めました。
―ありがとうございます。夢を持って活動されているなかで、何かこだわりはありますか?
星:最近考えているのは、色んな人を配慮したりとか、視野を広く持ちたいなと。S&Dをやっていくなかでも「誰でもミュージカルが出来る」という所を一つのコンセプトにしているので、「本当に今これは誰でも出来る形だろうか?」と。
ひらた:うんうん。
星:例えば体の弱い人もいるかもしれないし、心が弱い人もいるかもしれないし、いろんな状況だったりとか、バックボーンだったりとかがある人、全員が出来る形。ミュージカル作りにしても、このS&Dにしても、いろんな大学の人がいるし学年もバラバラだし、そういった人が完全に平等にっていうのは無理かもしれないけど、不公平感が出ないようにっていうのは考えていきたいなって、そう思いながら団体を運営しています。
―そういった背景と「ひとりぼっちの夜」の作品作りは何かリンクしているのでしょうか?
ひらた:うん、してると思う。ここまで星くんがやってきたサークル活動を見てきて、そこに居る、参加している学生達を見てきて出来た作品だと思う。どんなに自分が「これもダメだし、これもダメだし、これもみんなよりは劣ってるな」って思ってしまうような人でも、きっと何かの役割があるよっていう思いを持ってもらえるようなものにしたかったし、プレイヤーとして参加するみんながこの作品を演じることによって、それを本当に実感できる。「私にもきっとこれは参加する意味があるんだ」って思える作品を書こうって思ったので、それはリンクしてるんだろうなって思いますね。
―樹原さんは作曲の担当ですね。
樹原:そうそう。星さんに呼ばれて、(S&Dが)最初マンマ・ミーアの曲でやっている時に「へーこんなサークルなんだー」って見に来たら、「じゃあ次はオリジナルを作ってみようぜ」と言われて。ひらたと一緒にプロットの段階からすごい相談しながら、一曲ずつ作っていった感じですね。
―どういった所を意識して作られましたか?
樹原:キーテーマを最初に聞かせて貰って、「すごい良い作品になるじゃん!」と大共感して、テーマ曲の「ひとりぼっちの夜」を最初に作りました。初めて聞かせた時はすごく緊張したんですけど、(井上)万葉が最初に歌って、形になるのを聞いたとき、「あ、これは良いのができるぞ」と。「ひと夜」はキャラクターの性格が違うのと一緒で、曲も全然ぜんぶ違うので、結構色んな方向に飛んでいく。色んなイメージを先にひらたから貰って、「そういうの面白いな、じゃあこうしたらもっと面白いかも」という曲を作って渡したりって感じですね。
―印象的なフレーズが何度も反復されますね
樹原:テーマ曲は一番最後に流れるけど、その時にはもう親しみが感じられて、観た人が帰り道に口ずさんでくれたら一番いいなって思って作っています。それと、サークルでやるっていう上で、曲同士の繋がりがあると、みんながやってて楽しいかなっていうのはすごい意識して一回聞いただけでは気付かない事も入れています。
―落合さんの役割はなんですか?
落合:僕は振付なので、ダンスシーンを作っていくんですが、「目で見て楽しめる」っていう事をすごい意識しています。ひらたと樹原で芝居や音楽はイメージして作ってるから、僕はその音楽に乗っていきさえすれば、素直に自然と伝わるはずだと思っていて。その中でどうすると視覚的に膨らんで、そのテーマがわかるようになるか。でもずっと伝えたい事を伝えてても集中力が切れちゃうから、あえてショーアップさせて集中力が持続するようにしたり。(ひと夜は)お芝居要素の強いミュージカルだと思うんだけど、僕のやってきたミュージカルはショーなものがすごく多かったから、自分がやってきた要素をがっつり入れる事によって、ナンバー1個1個でも楽しめて、でもその中にしっかりテーマが入る。あとは表現する人たちがその振り付けをやればやるほど、自分の表現したい方向性を合致していくような振付というのを作る事をすごい意識しています。耳を塞いで見てもその音が聞こえてくるような踊りと構成になったらいいなと思っています。「めぐりぷ」で言えば、音が重なりあっているように人が重なっていたり、「巡る」っていうテーマが無意識で体に入ってくるようにするにはどうしたらいいんだろうっていう、視覚的な所を意識して作っています。
―樹原さんから見て、落合さんの振りとか演出はどういう印象ですか?
樹原:ポーズというか、体の動かし方がすごく面白いなって思う振りが多くて、好きですね。
―では、落合さんから見た樹原さんの曲はどんな印象ですか?
落合:むずい!普通じゃない(笑) 聴いてるとめっちゃ自然なのに、いざカウントを起こすと「こんなに複雑になってるの!?」みたいな。でもたぶんそれがおもしろさが出るテクニックなんだろうな。
樹原:すごい、そうです。うんうん。
―見る人に伝えたいこだわりなどありますか?
樹原:こだわった結果として、スッて自然に入って、「いい話だったな」ってなってもらえればいいなって。
曲を作ってるんだけど…「良い話だったな」ってなって欲しい。そういう感じですね。
―ありがとうございます。もう一つ質問があったのですが、星さんに聞いたらピンと来ない様子で……
落合:うーん、でもいいよ! 喋ってみよう!
―そうですか? では……「S&Dならではの相乗効果ってありますか?」
樹原:一人だったら書かない曲しか書いてないからそういう意味ではめちゃくちゃありますね。メッセージとかキャラクターがあって、初めて生まれた曲達ばかりなので。それを毎回新しい人たちが演じることによって、その曲も新しい面が見えてくる。
落合:僕もテーマと曲を貰うから、普段だったら作んないなっていうものをいっぱい作っていて。そのぶん苦労は多いけど、新たな引き出しをどんどん作って、どんどん出していくっていう。ここでしか出てない引き出しは一杯あるな。脚本と、それに合わせた曲があるから、ある意味縛られるんだけど、縛られるからこそ出てくる僕の新しいものがあって、そこの相乗効果があるんじゃないかなと思います。
星:なんかさ、俺思ったんだけど!
―星さん!?
星:俺はこの質問を見た時、相乗効果って感じなかったの。でも今理由がわかった。うちらはリレーしてんだよね! 俺が「こういうふうにしたい」って言ったのをひらたが本にして、ひらたの本を読んで樹原が曲にして、その曲に(落合が)振りを付けて……俺、スタートだから!
樹原:あ~!
落合:そういう事か!だから僕が一番感じてんだ!
星:一緒に作ってんだけど、同時じゃないもんね。話し合って作ってるってよりは「これを頼む…!!」ってどんどん次へ回してる感じだよね
―S&Dらしくもありますね。潤さんが切り開いて、という所がある。
樹原:こっちから見たら、最初の1があってこそなんだけど。
落合:そうそう。
―では、リレーで繋いでいるとすると、その先には演じる学生たちが居て……
落合:そう!
しゃろん(学生):思った!パスが来るのは私たちで、演じる事で、講師陣の人たちも新たな気づきがあって、それで私たちもまた頑張って。私は自分の実生活に、樹原さんの歌とかあてはめちゃって。周りもすごい人いっぱいいるし、サークルもすごい人いっぱいいるし、その中で自分の役割って何なんだろうって最近落ち込むこともあったんですけど、ダンスとか明るい曲とかに励まされたり、ストーリー全体に励まされたり。
樹原:すごい嬉しいです。良かった。
落合:ありがとうございます!
(聞き手:8期ハルクン)
学生編
―S&Dならではの作品作りの楽しさとは?
ひま(幹事長):ミュージカルが好きっていうだけで完全に初心者の私たちでも、作品作りに一から携われるのはここならではだよね。しかも作品はS&Dオリジナルだから、脚本を書いてくれたり、作曲をしてくれた プロの講師の方々が目の前にいて、その人たちに直接指導してもらえる。それって中々ないことだよ。
りる(本公演チームリーダー):そうだよね、すごい勉強になるし、本当に貴重な環境だなって思う。あと、チャレンジすることを歓迎してもらえるのがとってもありがたい!私は初めの頃はお芝居に苦手意識があったんだけど、講師の方がどんなお芝居も受けとめてくださったから今は芝居稽古がすごく楽しい!
―S&Dの魅力とは?
ひま:インカレサークルだからこそ色んな人がいて、それぞれの在り方をそのまま受け入れるあたたかさがあるところ。どんな人でも自分に合った関わり方ができるし、自分の居場所だなぁって感じられると思う。
りる:うん、みんな個性をそのままに受け入れてくれるもんね。話す時も否定から入ることが基本ないし、お互いを認め合える環境があるから、一人一人が 自分らしく頑張れる。S&Dのスローガン通り、安心安全めっちゃ楽しい!
―これから入ってくる人に向けて伝えたいことは?
ひま:大学生になってもたくさんの仲間と一緒に全身全霊で取り組めて、めっちゃ楽しいって思えるものができるなんて思ってなかった。全力で青春できる場がここにはあります!サークルの中をぜひ見にきてほしいな。
りる:うんうん、私はS&Dに入る前、学生生活でこれをやり切ったって言えることがないなって少しもやもやしてたんだよね。ここはそういう気持ちを抱えている人の居場所になるはず!めっちゃ青春できる環境があるよって伝えたい!S&Dの作品はもちろんだけど、中身の部分っていうか、サークルのあったかさも見てもらいたい!
(聞き手:8期しゃろん)
[大学生対象!]ミュージカルサークルS&Dでは、体験サークルの参加者を募集しています!2022年4月〜2月までの入会で8期生、2023年4月からの入会で9期生となります!
[一般対象!]S&D Projectでは、「ひとりぼっちの夜」埼玉一般公演(2023年9月18日)の参加者を募集しています!